2月の染料植物 

            2017年

ツバキ(椿)

 

八王子の中山先生(私の織の先生)が存命であった頃、近くの大きな公園で真っ赤に散り敷いたツバキの花を拾い集めて染めたことがありました。

 

赤味の残る美しい色が染まりましたが、褪色が大きかったですね。 花の色素では珍しい事ではありません。 

着物を織るには不向きですが、そんな糸もショールの部分的な縞などに使っています。

 

その鮮やかな落花の絨毯の美しさ、その色を糸に移したいと思った感動、ツバキの花で染めた糸で織りあげた布を纏うことのゆかしさは、草木染の大きな楽しみと喜びです。 

褪色うんぬんは大切な事ではありません。

色が褪めたらまた染め直せばいいと思います。

20年以上も昔の事ながらはっきりと目の奥に焼き付いた色褪せることのない光景こそが大切な事と感じます。

 

ツバキは染料としてよりも、枝葉を燃やしたツバキ灰が昔からアルミ媒染剤として使われてきました。 

焚火自体が難しくなってしまった現在の自然環境の中では、ツバキ灰も簡単に手に入らなくなってしまいました。 

 

 ー おまけのお嬢 ー

 

ツバキを見ていたら、久しぶりにお嬢がやって来ました。 

車のフロントガラスのもう一羽は敵ではないと得心したらしく、戦うことはなくなりましたが、縄張りを守って近くにいます。 

 

春も近く、もうすぐ北に帰るのでしょうか。


 

● 2月の染料植物 2016年

 

ビワ(枇杷)

ビワの花はとても地味ですが、12月から1月にかけて花の少ない時期に咲きます。

今頃はもう小さな実をたくさんつけ始めています。

 

ビワは捨てるところがありません。 実はもちろん食べますし、種はホワイトリカーにつけておくと、とても香り高い果実種になります。 

私の友人は火傷に効くと言って使っています。

葉はお茶になります。

 

 

もちろん枝葉は染料として使います。 

 

はじめはとても染め付きが悪いのですが、媒染をしてからの染で一気に色が入ります。 

<B-5>色無地着尺はかなり赤味の強い色に染まりました。 

    →<B-5>色無地着尺

 

まさにビワの実の色のようなオレンジ色も染まります。

染める季節によっても変わります。