梅干し

日本の伝統食品の筆頭といえば梅干し。 生まれて今に至るまで、梅干しのなかったことはありません。

 

元気なうちは母が作っていましたが、いつの頃からか私が引き継いで漬けるようになりました。

 

母の頃は20%近くの塩分量だったようですが、最近の梅干しは健康志向もあってずいぶんと減塩されたものが多くなりました。しかし、塩は食べ物の保存というだけでなく、美味しさを引き出してくれるものでもあり、適度な塩分量の梅干しの方が美味しく感じます。

 

私は1年でなくなる程度を毎年作ることもあって、減塩しつつも美味しさを引き出してくれる塩分量にしています。

 

それぞれのご家庭にそれぞれの味があると思いますが、私の漬け方もご覧いただければと思います。


材料

梅      :4㎏

塩      :480g

ホワイトリカー:400㏄

 

シソ     :4ワ

(シソの量は好みで)

塩      :大さじ4

 

準備するもの

漬け込み容器 重石8㎏* 

落し蓋 盆ざる


下漬け

①  梅はまだ青いようなら、色づき良い香りがするまで数日置いておく。汗をかかないように、一方で乾燥しないように盆ざるに並べて上に新聞紙をかけておく。

 

②  サッと洗って被るくらいの水に4~5時間漬けてあく抜きをする。

 

③  漬け込み容器の底に塩を一握りふって、よく拭いた梅を入れて、一段ごとに塩を入れていく。

塩は多めに残しておく。

 

④  全部入れたら、ホワイトリカーを回しかけて残しておいた塩をふる。

 

⑤  落し蓋をし、重石8㎏をのせる。

 

⑥  翌日から塩が溶けて早く水が上がるようにするために、重石と落し蓋をとって容器をあおる*

 

⑦  数日後、白梅酢*がヒタヒタ上がってきたら重石を半分の4㎏にする。

そのまま、赤シソの時期まで漬けておくが、時々カビが出ないかよく点検する。


シソ揉みと本漬け

①  シソは軸から葉をはずし、よく洗って水気をきる。

 

②  ボールに入れて、塩半量(大さじ2)をふって、両手でよく押すようにして強く揉む。しんなりして、黒いアクが出たら、シソを一握りずつ手で堅く絞って出た汁を捨てる。

 

③  きれいにしたボールにシソを戻し、残りの塩半量(大さじ2)をふって、同じようによく

揉んで堅く絞って、出た汁を捨てる。

 

④  きれいにしたボールにシソを戻してよくほぐし、漬けておいた梅の白梅酢を回しかける。白梅酢が赤くなったら、漬けておいた梅の上を覆うようにシソをかぶせて、ボールに残った汁も回しかける。

 

⑤  落し蓋をして、さらに半分の2㎏の重石をしてフタをし、梅雨明けまで風通しの良いところに置いておく。


土用干し

 ①  梅雨明け後の晴天続きの日を選んで、盆ざるに梅と汁を絞ったシソを並べて、風通しの良い、陽の当たるところに出して干す。

白梅干し
白梅干し

 ②  時々上下を返して、雨や夜間は家の中に取り込む。

③  三日三晩の土用干しにこだわらず、梅干しらしいシワできてきた頃合いを見て切り上げる。最後の日には容器の赤梅酢*も陽に当てる。

 

④  赤梅酢の温かさが残っているうちに梅とシソを交互に戻し入れる。10日ほどしたら全体がなじんで食べられる。


アドバイス

 

 段階的に8㎏、4㎏、2㎏と減らすので4㎏x2個、2㎏x1個あると便利です。

 

 梅は、白梅酢がヒタヒタに上がって来るまでが、一番カビやすい時です。「梅には毎日顔を見せ・・」といわれる所以です。

 

白梅酢が上がってしまえば、カビることはまずありませんが、塩分量が少ないとカビることもあります。毎日よく見て全体をよく揺することです。

 

 白梅酢は梅の頭が出てしまうほど取り置けませんが、桜葉の塩漬けにも使いますので少し取り置きます。

 

 紅ショウガを付けたり、野菜の浅漬けに使ったり赤梅酢はさまざまに活用できてとても重宝します。

 

●  出来上がった梅干しは、赤梅酢と分けて保存容器に入れても、赤梅酢に漬けたまま保存してもどちらでも構いません。

 

塩分を気にする方は、赤梅酢に漬けたままの方が塩分量は少なくなると思います。

 

●  シソを入れない白梅干しもまたおいしいものです。

 

●  生前の母が最期に作った梅干しです。おそらく30以上前のものと思います。ずいぶん枯れて塩が吹いていますが、何とも言えず美味しくなって貴重品です。

 

夏の山歩きの時、一粒持っていくと生き返ります。

 

私が作る梅干しは塩分が少ないので、30年経ってもこのようになるかどうかはわかりません。少し取り置いて様子を見ています。100年物の梅干しもあると聞きますから、梅干しは本当にすごいものだと思います。