日々のこと 大野純子

幼い頃、私は爪を噛む癖があったそうです。 困った母は手当たり次第に物を持たせたそうです。

 

そのうちに物を壊したり、組み立てたり、作ったり、切ったり、張ったり、縫ったり、編んだり・・・・料理や保存食作り、そしてさらにそののち、織りにつながる原点はそこにあったようです。

 

何だかいつも手を動かしていないと落ち着かない、手仕事大好き人間になりました。

 

季節と共に過ぎる日々のことを綴ります。                 2021年までのことは→こちら


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2月12日(月)Rの季節

 

毎年、この季節になると神戸の友人より、牡蛎が送られてきます。

 

食べ物に好き嫌いはなく、人生の最後の日に何を食べたいかと問われても、かなり困ります。

 

とはいえ、牡蛎、とりわけ生牡蠣は5本の指に絶対入ります。 若い頃、4ダース食べたことがあり、今でも食べられると思いますが、齢なりに自重できるようになりました。

 

チーズ焼きもまた一味違った美味しさ。マヨネーズにチーズを振って、ニンニクのみじん切りをパラパラ、オリーブオイルをタラリとかけて焼くだけです。

 

自重した分はオイル漬けにしてみました。これはこれでまた美味。そのままつまんで良し、パスタと合えて良し。

 

久しぶりの白ワインとともに、たらふくいただきました

 


 

2月8日(木)春立ちぬ

 

予測通り南岸低気圧がやって来て、東京でも随分降ったようです。

 

熱海でも、山間部では必ず冬に一度は雪になります。予定していた山歩きは断念、しばらくは山越え道には雪が残りそうです。

 

待ちかねていた寒干し大根が出てきました。

 

大根一本を丸ごとしっかり干したものです。大根のミイラ状態。これで叩かれたら結構痛い。そんな状態になるように干すのは相当大変です。

 

しかし、ただ干しただけにあらず。これで大根のハリハリ漬けを作ると、それはそれは美味しいのです。ふつう、切干し大根で作ることが多いのですが、切って干した大根より、丸ごと干した大根は、旨味が逃げないためか、美味しさは格段に違います。

 

熱海桜
熱海桜

熱海の街中ではきっと満開でしょう。 わが家の辺りでは5、6分咲でしょうか。一番乗りの熱海桜が咲き始めると、これから4月末の八重桜まで、次々と桜が咲き継ぎ、春がやって来ます。


 

1月14日(日)季節は廻る

 

友人宅のネーブルを収穫してきました。毎年、違えずに実りを届けてくれる季節の果物たち。年明けはネーブルからです。

 

完熟したネーブルは、触るとポタリと落ちます。スーパーなどで売られているものには、しっかりヘタがあります。その方が良さそうに見えますが、完熟する前に収穫しているからです。

 

ヘタがないのは完熟して美味しい印。

 

たくさんあるのでオレンジスライスを作ります。あちこちで好評なので、すぐに出払ってしまいます。

 

詳しくは→「オレンジスライス」


 

1月9日(火)夜長

 

少しずつ夜明けも早くなり、夕暮れは遅くなってきたものの、冬の夜長はどうにも手が淋しくなります。

 

昨年のカレンダーのリメイク、今年はどうしようと思っていたところ、昨年作ったティッシュペーパーカバーをまたお願いされたので、これ幸い。考える手間が省けました。

 

やっぱり女性は実用的な方が好きなのですねえ。

 

旧作
旧作
新作
新作

キノコ採り用のカゴをもう一つ作りました。最初に作ったカゴを3年使ってみての改善点を取り入れました。

 

ゴロゴロしないように丸底を楕円に、風通しが良いように隙間を入れて。ハサミのホルダーも付けてみました。早くもキノコシーズン、待ち遠しくなります。

 


 

1月1日(月)2024新年

 

いつもの日々と変わらず新しい年が明けました。アタミザクラがほんの一輪。今年の冬は暖かいので咲き始めも少し遅いようです。

 

 

天城の山並み
天城の山並み
網代湾と伊豆大島
網代湾と伊豆大島
日の出前
日の出前

冬至が過ぎ、年が変わると、日に日に夜明けが早くなるのが分かります。

 

冬場は6時前に歩きに出かけていましたが、そろそろ30分ほど早めても良さそうです。

 

美しい日の出でした。

 

もう一人も元気で、これは自分のこと以上に嬉しいことです。


大根の甘酢漬けと大根葉の塩漬け
大根の甘酢漬けと大根葉の塩漬け

 

12月17日(金)冬の役者

 

12月も半ば、暖かな日が続いています。過ごしやすくて助かりますが、キンと冷える日もないと淋しいと思うのは贅沢でしょうか。

 

大根が丸々と太ってきて、美味しい季節になってきました。甘酢漬けを仕込みます。

 

今では、一年中どんな野菜でも手に入りますが、その季節季節の旬の野菜が一番おいしく、体にも優しいので、大根、白菜、カブといった冬の代表格をほとんどひと冬中食べています。

 

大根の葉も捨てず漬けます。

 詳しくは→「大根の甘酢漬け&大根葉の漬物」

 

柚子胡椒
柚子胡椒

 

柚子とダイダイを友人が持ってきてくれました。

 

ちょうど青唐辛子も手に入ったので、香りの良い本柚子で柚子胡椒を作ります。

 

詳しくは→「柚子胡椒&タバスコ」

 

 

柚子とダイダイ
柚子とダイダイ
ダイダイと柚子のシロップ漬け
ダイダイと柚子のシロップ漬け

花柚子とダイダイは、氷砂糖でシロップを仕込みます。お湯で割って飲めば、お腹の中からポカポカして、寒い時期には欠かせません。

 

この季節のダイダイは、まだ青みが残って酸味が強いので、ポン酢用にも搾って冷凍しておきます。残りのダイダイはマーマレードにしましょう。

 詳しくは→「ジャム・マーマレード・シロップ」

 

今年は出の遅かった落ち鮎も、やっと届きました。猛暑のせいでしょうか。小ぶりで卵がまだ成熟していない感じです。

 

素焼きにしてから、頭から骨まで食べられるように煮浸しにします。子持ち鮎の美味しさはこの季節だけの贅沢です。

 

これで冬ごもりしても大丈夫。ありがたや。

 

詳しくは→「落ち鮎の煮浸し」

 


 

11月19日(土)秋の恵み

 

晴天続きの日を選んで、柿を吊るしました。今年は少な目。齢とともに少しずつ規模も縮小です。

 

とはいえ、好物なので、できる限りは作りたいと思っています。

 

風に揺れる柿の暖かな色。幸福眼福です。

地物の大根もたくさん出始めて、今期初の大根の甘酢漬けも仕込んで、いよいよ冬がやって来ます。

 

 

秋の陽射しは、部屋の奥まで射しこんできてポカポカと暖かく、静かで穏やかですが、物淋しくもあります。

 

 

あちこちから果物もたくさん。みかんはわが家の産。ものすごく酸っぱくて、外皮も実の袋も硬くてそのまま食べるには不向きでしたが、何がどうなったのか。今年のみかんは人が変わったように美味しくなりました。

 

程よく酸味も残り、甘くて、袋も柔らかくて、とても美味しくなりました。不思議、不思議。

 

ある境を越える時、ある峠を越える時、というのはどんな事にでも必ずあるように感じています。

 

わが家のみかんもひと山越えて、一皮剝けたのでしょうか。


 

10月9日(月)急転直下

 

先週までは半袖だったのに、一気に11月並みに冷え込んで冷たい雨もここ2日。

 

この夏の暑さで、さすがに作る気のしなかったスモークベーコン。冷たい雨の降るこんな日は、火の番をしながら半日ゆっくりスモークするにはぴったりです。

 

発酵食品はあまりに暑いとうまくできませんが、快適な温度に下がってきました。

 

数日前に仕込んだザワークラウトもちょうど食べ頃。ついでに粒マスタードも作ったので、今晩のメニューが揃いました。

天然酵母パンも猛暑は苦手。こちらも美味しそうに焼けまして、ゆったり料理を作るこんな日は、かけがえがありません。

 

空気も冷えて雨もたっぷり降り、来週のキノコ採りにも期待が膨らんできました。

 

ようやくの秋です。

 


 

8月11日(金)台風接近

 

のろのろ台風がようやく過ぎ去ったところに、今度は海をまっすぐこちらに向かって来る台風が発生して、暖かい海で力を蓄えながら、来週はどうにも直撃態勢が避けられそうにありません。

 

カラカラの猛暑続きの後は雨続きで、来週のキノコはいいかも・・・と師匠と段取り検討中でしたが、どうなりますか。

今年の梅干し・去年の梅干し
今年の梅干し・去年の梅干し

今年の梅干しが出来上がりました。お日さまと赤紫蘇にきれいに染まって今年もよくできました。

 

漬けあがったばかりの梅干しは新鮮で、それはそれは美味しいものですが、古漬けの梅も塩が丸くなって、それはそれでまた美味しいです。

友人から毎年恒例、ブルーベリーもたくさん届き、ジャムもたくさん出来上がりました。

 

美味しい恵み、感謝です。

空はまだ、やって来る台風の気配は見えませんが、少し風が出てきましたか。何事もなく過ぎ去ってほしいと願うばかりです。


 

7月21日(金)梅雨明け

毎年悩ましい梅雨明け宣言。

 

昨日、東海地方の梅雨明け宣言がありましたが、熱海はどう見ても関東に近い。これが一山越えて三島になれば、「まあ、そうだね」という気持ちにもなろうというもの。

 

天気予報では、しばらく晴れマークが続いているので、梅干しの土用干しをすることにしました。

 

今年の仕込み量は8㎏。紫蘇、お塩等々含めると10㎏。重石をかけている時はさらに重く、さすがに持ち上げるのも大変です。

 

さてさて、いつまでできるでしょうか。いつまでもとは思ってはいますが、少しずつ身の丈に合わせていきますか。

 


 

6月19日(月)プラム・プラム&プラム

 

「びっくりするから、見に来て!」と友人が言うので、行ってみれば・・・・たわわに実ったプラムは、枝という枝を埋め尽くして、木肌が見えないほど。 あまりの鈴なりの重さに耐えかねてか、大枝が2本裂けるように折れているような有様。

 

数年前に大きく切り戻してから、しばらく実がならなかったので、そのせいもあってか、あきれるほどでした。

 

全部収穫すれば、恐らく軽く100㎏は越えそうでしたが、食べられる分だけ収穫してきました。

 

プラムジャム
プラムジャム
プラムコンポート
プラムコンポート

プラムコンポート
プラムコンポート

瑞々しいプラムは、何と言っても生のままが一番ですが、とても食べきれません。

 

3日間、ひたすらジャムを作ること8回。さすがに疲れたし、飽きたし、夢に出てきそうだし。それでも何とか無駄なく作り終えました。

 

プラムジャムは格別。深紅のルビーのように輝くばかりの色は、まさに眼福です。

 

コンポートも作ってみました。仕上げにラム酒を加えて、これもなかなか。

 

夏の恵み、ごちそうさま、ありがとう。


 

5月31日(水)梅雨入り

 

友人が梅とビワを採って持ってきてくれました。一昨日、5月29日に静岡県は梅雨入りしました。少し早いようですが、もうそんな季節になりました。

 


2日追熟
2日追熟

友人は加工品が欲しい人、私は材料が欲しい人。お互いWin-Win、うまくできています。

 

梅はもう少し色づくまで2,3日置いて梅干し用に。

詳しくは→「梅干し」

傷がついたり、熟しすぎたものは梅味噌に。

 

梅仕事の始まりです。

詳しくは→「梅味噌」

新生姜も今が旬。ゴロゴロ大きめに切って、甘酢漬けにします。ほんのり桜色に色づいて眼も口も楽しませてくれます。


 

5月19日(木)ドクダミ

 

ドクダミの白い花が美しい季節です。 

 

十薬とも言われるドクダミ。蕾を付ける頃に最も薬効が高まると言われています。

 

今年も摘み取って、よく洗い、ビンにギュウギュウ詰め込んでホワイトリカーを並々と。

 

このまま3年寝かせます。

化粧水やクリームも身近なもので手作りしています。

 

何年か前に、長年使い続けてきた蜜蠟のクリームで、急に発疹が出ました。皮膚科の漢方医の先生によれば、スギ花粉症と同じで、蓄積されて行って、ある日発症するということはありうるとのこと。

 

齢とともに体内の免疫系統も変化もしているでしょうし・・・・かなり残念でした。

 

一方ドクダミ化粧水は、ほぼ生まれてこの方使っていますが大丈夫です。同じ漢方医の先生によれば、手作りの化粧水は3年は漬け込んだものがいいよとのこと。以来、そのアドバイスを守っています。

 

右側の琥珀色のビンは2019年仕込みのもの。今年から使っています。

 


5月5日(金)夏近し

 

昨日は各地で夏日の報告がされていました。爽やかな五月晴れが続いています。わが家では、日陰や室内は少し肌寒いくらいです。

 

ななちゃんはお気に入りの出窓の大皿の中で、毛づくろいにいそしんでいます。季節をよく知っていて、季節ごと、日々のお天気、一日の時間でもお気に入りの場所を変えます。

見ているだけで幸せ。

 

よい季節になって来たので、布ぞうりを少し作りました。

 

仲良しの友人の贔屓なので、今日のお土産に持って行こう。


 

4月21日(金)初夏の味

甘夏が美味しくなる季節です。

 

毎年、友人宅の甘夏を収穫して、たらふく食べています。今年は友人の夫君もお手伝いをしてくれて、ざっと見おおよそ200㎏くらいの収穫量だったでしょうか。

 

 

 

水分たっぷりの甘夏は初夏の味。それでも酸っぱいので食べない、とのたまう夫君のために、コンポートを作ってみました。

 

私はそのまま食べた方が断然美味しいと思うけど‥‥


 

4月1日(土)木の芽どき

今年は春が早く、山椒の新芽も一気に芽吹き始め、早くも花が付いてきました。

 

のんびりしていると固くなってしまうので大急ぎで収穫。

大きなザルに一杯で出来上りは小ビン2つ。労力の割には報われない感あり。

 

それでもこれだけは欠かせません。ほんのお箸に一つまみでご飯が一杯食べられる春濃縮の美味しさ。今年もできて上々。

 

 

 

 

 

桜も花が散り始め、若葉がグングン大きくなってきました。

 

例年ですと、5月くらいに作る桜葉の塩漬けを早めに作ることにしました。

 

形はどうしても小ぶりになりますが、ヤワヤワのの葉っぱは筋まで柔らかいので、早くも来春の桜餅が楽しみになりました。

 

塩水を使ってもいいのですが、私は塩漬けする時には白梅酢を使います。

 

白梅酢がとれるのは、梅干しを漬ける時ですから6月です。桜葉の時期とは当然合いませんので、去年取り置いた白梅酢を使います。

 

漬けた桜葉が出来上がるのは翌年。都合2年がかりということになります。結構気の長い話です。

 

保存食や発酵食品を作っていると、自然の営みに人は合わせて暮していたのだなあと折あるごとに思います。その普通のことが失われてしまって、どこに行き着くのでしょうか。豊かで幸せだとは少なくとも私には思えないでいます。

 

少しずつこっそりながら抵抗しようと思っています。