8月の染料植物 ● 2016年

 

クズ(葛)

 

いたる所、繁茂しています。 

マメ科のつる植物で、木を覆い尽すほどになります。 

手入れのできない山の斜面などは、一面クズに覆われて、元の木が分からないことさえあります。

 

染料としてはふんだんに使い放題、刈り取ればむしろ喜ばれたりします。

 

そんな半分厄介者のようなクズですが、根は葛粉になり、ゴマ豆腐や和菓子には欠かせません。 

ご存知「葛根湯」は風邪を引いたときなどよく飲まされました。 

また、クズの繊維は糸となり、葛布となります。 捨てるところ無しの優れものでもあります。

 


 

● 8月の染料植物 ● 2015年

 

偏愛といっていい程、日本人に愛されている桜。染色の世界でも桜の染めはあこがれの的です。

自宅にあれば剪定もできますが、なかなか手に入らず、染めることの叶わない人も多いかと思います。

幸い我が家には自生の木が数本あり、剪定を兼ねて染めています。

 

一般的に、樹皮や枝を使う場合は色素を一番ためている花の咲く前、1月から3月が適期ですが、落葉樹の緑葉で染める場合は葉の成熟する8月から10月にかけてが適期となります。

 

花の咲く前の優しい色合い(色無地着尺・桜)も好きですが夏場の力強い赤樺色(縞着尺 格子)も味わい深いものがあります。

 


桜の緑葉を使う場合は、なるべく8月中に染めるようにしています。  

と言うのも、山の中の木で一番最初に紅葉が始まるのが桜だからです。9月に入るとすでに色づいてきます。


友人が、紅葉した桜の葉で染めた糸を見せてくれたことがありますが、また一味違った赤味の色でした。

さらに面白い友人がいまして、桜の葉を食べる毛虫のフンを集めて染めた糸を見たことがあります。

赤樺色に近い色でしたが、大きな違いは 何とも美味しそうな桜餅の匂いがすることでした。

毛虫はいい物を食べて、うまい具合に発酵しているのでしょうか・・・分かりませんが、一度は試してみたい染めです。



・・・隠れた桜の名所・・・

話は脱線しますが、ここの別荘地を開発した小松製作所のかつての社長が1962年に「日本花の会」を設立して、桜の名所作りに取り組んで来たそうです。かなりの種類の桜が植えられています。早い年は12月から熱海桜が咲き始め、あとを追うように次々と寒緋桜、しだれ桜、大島桜、ウコン桜、オカメ桜、御衣黄・・・と咲き継ぎ、5月の八重桜で終わりを迎えます。

約半年にわたって桜が楽しめる隠れた名所なのです。

ところが、半年も咲いていると、開花を待ちわびる気持ちが希薄になってしまいます。

贅沢ですね。