第一回〜第九回
< 第一回 >
経糸の糊つけ
染めた時に乱れたかせ糸を整えながら、糸の一本一本がサラリと分かれるように経糸をふのりで糊つけをする。
毛羽立ちや静電気を防ぐ。
糸にはS撚りとZ撚りがあり、生糸は概ねS撚り。
乾いたかせ糸はS字にねじれる。
<第二回>
枠取り
かせ糸を五光(まいば)と座繰りで小枠に巻き取っていく。
巻き取った状態 ↓
<第三回>
整経
小枠に巻き取った経糸を整経筬に通し、整経台に掛けていく。
整経台の幅は1.5m、縦に並んだ角は左右に10㎝間隔で10本ずつ並んでいる。
経糸に必要な本数と掛け方によって必要な要尺を測ることができる。
写真の糸のかけ方で16.5m。
整経が出来たら、糸が乱れないように、所々仮止めをする。
綾糸を入れる。
整経台から外す時はヘソ巻きをして、まとめておく。
ヘソ巻きは時計回りに巻き取ったものをひっくり返して引き出せば、いったんかかった撚りが元に戻るようになっている。
<第四回>
絣の手括り
括る経糸が乱れないように細い絹糸の捨て糸をかける。
経糸を機巻き機に巻き取ったところ。
絣糸の括りには経糸をなるべく長くピンと張った状態にすることが必要。
柱と柱の間に張ってもいいし、その場に応じで工夫する。 私の場合は機巻き機を利用している。
括り糸は無撚りの21本取り綿糸を使う。
この綿糸も自作。
綿糸は水に濡れると締まるので防染効果が高く、絣の手括りに向いている。
幅の狭い括りの場合は綿糸だけで括るが、幅の広い場合は新聞紙にロート紙を重ねたものを芯にして括る。
括っているところ。
括りが終わったら、染めやすい大きさのかせにまとめる。
< 第五回 >
絣の染め
染める前に一晩ぬるま湯につけておく。
括りの中まで水が浸透して染料が入るのを防ぐ。
染料の煮出し。
染め。
絣と絣の間、絣際は特に染料が入りにくいので、よく糸を繰り、動かすことを止めないで染める。
< 第六回 >
絣合わせ
染めた絣糸は括ったまま糊つけをする。
括りをほどき、整経台に張り直して、絣の位置を合わせる。
< 第七回 >
間ざき・荒筬通し
絣糸と地糸を設計本数ずつ組み合わせながら糸を左側から右側に移していく。
絣糸本筬より荒い筬に糸を通す。
織幅を決め、一度筬目を通すことで、ねじれた糸の素性を正すことができる。
無地や縞の場合は糸の本数を均等に筬目に通すようにするが、絣の場合はその後のずらし作業を考慮して筬目に入れる本数を割り振っていく。
< 第八回 >
機巻き
男巻き布に糸を均等に結び付ける。
糸の張リが揃うようにする。
筬を挟んで男巻きと反対側にある綾を男巻き側に移し、綾ひもを入れる。
糸の張りが均等になるように注意しながら男巻きに巻いていく。
この段階では、絣を括ったところは横縞の状態。
<第九回>
絣のずらし
ずらし台を真横から見たところ。
右側に機巻きの終わった男巻きをとりつける。
ずらし台の横板には棒を差し込む穴が開いている。
棒を差し込んだところ。
設計図に従って差し込んだ棒に糸をかけていく。
糸を棒にかけて遠回りさせることによって括った部分がずれる。
糸の本数、色、ずらしの角度、直線か曲線かによって、ずらし模様は無限に作ることができる。
ずらし台の左側にもう一本男巻きを取り付けて、糸を結び巻き取っていく。
ずらし台の右側、糸を棒に掛けていない側は絣は横縞になっている。
ずらし台の左側、糸を棒に掛けて巻き取る側は絣がずれている。
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