3月29日(水)伊東アルプス
絶えることなく降ってくる桜の花の中、花びらの絨毯の尾根道を今年も登ってきました。
尾根に一筋、頂上に向かう桜の帯が見えてきました。あの急斜面を登ると間の山です。
尾根をふさぐように折り重なる倒木を乗り越えて登ります。ここの桜も随分と年老いてきました。
満開です。今年はやはり1週間ほど早いようです。
矢筈山の麓近くまでジグザクと続く、白いオオシマザクラの桜道がくっきりと見えます。
この満開の溢れるほどの桜をひとり占め。これほど贅沢な花見もそうそうないのではないかと思います。
今年も来ることができてよかった。 名残りを惜しみ、惜しみ、ふり返り、ふり返り、また来年来るよと言いおいてきました。
スミレの観察も少々。
陽あたりの良い尾根にナガハシスミレ。別名テングスミレ。
他のスミレに比べて、距が長くて特徴的なので見分けやすいスミレです。
少し標高が上がったところにフモトスミレ。
フモトスミレとヒメミヤマスミレの見分けがなかなかできませんでしたが、今日はフモトスミレの特徴をしっかり確認。
まずは陽あたりの良いところのフモトスミレ、日陰を好むヒメミヤマスミレ。
葉の裏側が紫色を帯びるフモトスミレ、緑色のヒメミヤマスミレ。
距が紫色を帯びるフモトスミレ。
葉の付け根にまばらな毛があるフモトスミレ。
フモトスミレの特徴全てを確認して大満足ですが、スミレは場所によっても個体によってもこれに当てはまらないことも多々。特にフモトスミレは難物らしい。
とはいえ、たくさん見ること。これが一番の見分けのコツで、まだまだつかめないでいます。
キノコもちらほら。
こちらは見紛う事なきキクラゲ。 しっかり収穫して、美味しくいただきました。
春先によく見かけますが、まるで悩み多き人のようで食欲はわきません。
事実、猛毒だそうで、茹でて揮発した成分で中毒を起こすそうな。怖ろしや。
日本人もかなり奇妙なものを食べているので驚くのも変ですが、調べてみると、何とフィンランドでは食用にするのだそうです。
3月24日(金)スミレ・その1
毎年この季節、図鑑を持って出かけて来ます。やっと見覚えたスミレの名前は一年経つと頭からほとんど雲散霧消し、春になったらまたやり直し。新たな気持ちで向き合えるので、それもまた良しと都合よく考えています。
まずはタチツボスミレ。身近で一番よく見かけるお馴染みのスミレです。
マルバスミレは純白の大きめの花が愛らしい。唇弁にほんの少し紫の筋が入ります。
切れ込みのある独特な葉が特徴で見分けやすいエイザンスミレ。
私の行く観察場所でもよく見かけるスミレです。
一方こちらはヒゴスミレ。
白花のエイザンスミレは珍しいと一瞬思いましたが、葉の切れ込み方がエイザンスミレとは違います。
さらに細かい点では、花弁の縁が波打つエイザンスミレ、波打たないヒゴスミレ。と図鑑に書いてあります。
ルーペを覗けば、う~ん、確かに確かに。細か過ぎて面白い!
ヒメミヤマスミレはようやく蕾が上がってきたところです。
今年は暖かとはいえ、やはり咲くのは4月ですね。
お馴染みの春の花たち
昨日の猛烈な雨風で赤く染まった藪椿の落花の道の向こうから、東光寺の声明が朗々と聞こえてきます。
今日はちょうど春のお彼岸明けです。にぎやかな季節がやって来ます。
スミレ観察、まだまだ続きます。
3月20日(月)大野山
何度か近くの山に登った時、周りの山とは異質でよく目立ち見知ってはいました。頂上付近一帯が草原になっているようで、調べてみると乳牛の飼育場になっており、頂上まで車でも行けるらしい。
標高は700mあまり。登山道も林道歩きが多くて、さほど興味を惹かれる山ではありませんでしたが、同姓のよしみで一度は登ってみようという程度でした。
ところが予測は大きく裏切られて、頂上一帯は広く、なるほど「大きな野原の山」。
遮るもののない360度の眺望は素晴らしいの一言です。これまで登ったどの山も景色の素晴らしいところは数えきれず、甲乙はつけ難いのですが、ここがダントツ一番だと言ってしまいましょう。
丹沢の山並み
丹沢湖と丹沢の山並み
足下には丹沢湖。その上に連なる丹沢の山々。
西の方には富士山と愛鷹。
南に目をやれば裾を引く箱根の山並みに大涌谷の噴気も見えます。ぼんやり霞む相模灘に伊豆大島も見えていましたので、空気が澄んでいれば伊豆七島、三浦半島、房総までも見えるようです。
富士山
初めての山ということもあって早出をしてきたので、お昼を食べて下山を始めたのは11時前でした。早かったこともあり、途切れることなく登ってくる人たちに行き会います。
決して有名でも高い山でもないこの山が人を惹きつける訳に納得しながら、かたわらにドカンと構える富士山を眺め、眺めしつつ下ってきました。
また来たいと思います。
相模灘と箱根山系
ネコノメソウ3種
目立たない早春の花ですが、大好きなネコノメソウ。みんなよく似ていますが、少しずつ違います。
樹の花
日陰の好きな花たち
ヤマミズ、ずいぶんと早いこと、と思ってよく見ればどうやら違います。
初めて会いました。小さな目立たない花ですが、星のような、線香花火のような。
コナラの倒木にキノコも見つけました!
どうやらシイタケのようです。
鉄塔に高速道路に富士山。何と日本らしいこと。
御殿場線の桜のトンネルは有名で、満開の時期には相当な人出だそうです。今年は3年ぶりに賑わうことと思います。 桜はようやく開き始めたところでした。
3月16日(木)八丁池
すっかり春の装いになったまぶしい八丁池です。
樹々や林床の花たちもまだまだですが、それでも私の知り合いたちは目を覚まし始めました。
もうこんな時期に芽吹くのですね。小さな双葉が出始めました。
過日移植したヤシャビシャクを訪ねてみました。
風に飛ばされることなくブナの又にいましたが、根付いたかどうかはまだわかりません。
かなりのダメージだったのでどうでしょうか。継続観察しましょう。
一方、こちらのヤシャビシャクは元気な様子で、一つ二つ小さな若葉も確認出来ました。
アブラチャンは枝先がもやっとしています。
ブナが芽吹く前の陽の光をたっぷり浴びて芽吹き間近かです。
久しぶりに違った方向から白砂天井に入ってみました。何度も何度も歩いたつもりでもまだまだ初めて出会うような樹々がたくさんあります。
ブナのウロからいろいろな木が生えています。
ブナは懐の深い森の守り人です。
天城でも5本の指に入るくらいの幹回り。
森にカッコウやアオバトの鳴き声が聞こえ始める頃、ブナも芽吹き始めていることでしょう。また来ます。
3月6日(月)東の猿山
新山峠が見えてきました。鞍部とも言われるように、両側の山から下って一番低いところです。 真中が窪んで文字通りの峠です。
山歩きをしていると、尾根を伝って目指す山の頂に着くには小さなピークの間に幾つもの峠を越えていきます。
峠は路の交わるところでもあり、「この先危険、通行禁止」という標識もよく見かけますが、何だか心惹かれるところです。こちらに行くとどこに通じるのだろうと想像したり、地形図で確かめたり、次回はこちらにも行ってみようと思わせてくれるところです。
新山峠から右に行けば登リ尾。左に行くと今日目指す東の猿山方向です。初めてのルート、ちょっとドキドキ、ちょっとワクワクです。
始めはごく薄い踏み跡も頼りにしながら尾根筋を進んで、999mピークまで来ました。ケルンが積んであります。誰かが積んだ目印、少しほっとします。
その先はほとんど踏み跡も目印のテープも見当たらず、地図とコンパスを頼りに予定通り三筋山遊歩道にぶつかりました。
あとは遊歩道を進むだけ。
三筋山に続く尾根に連なる風車群が見えてきました。
東の猿山です。前回来た時は三筋山を起点に逆方向から来ましたので、ずいぶんと印象が違って感じます。
この大きなブナは覚えています。
来た道を戻り、地図読み練習無事に終了しました。
2月24日(金)三蓋山
予報は下り坂。それでも雨の降りだしそうな頃までには戻れそうだし、降りだしそうなら引き返そうと思って、エイっと出かけて来ました。
久々、伊豆山稜線歩道を行けるところまで行ってみることにしました。
伊豆には背骨のような山がL字型に連なっていて、その稜線を繋いだ伊豆山稜線歩道がさらに天城遊歩道へとつながっています。
ウクライナの国旗がずいぶんとあるねえ・・と遠方からの登山者は思うようですが、これはこの2つの遊歩道の印です。
天城峠から二本杉峠までは北斜面を等高線に沿った道を行きます。
葉を落とした樹々の間に間に富士山がのぞいて、しばらく伴走してくれます。
だんだんと頂上に雲がかかってきましたね。
天城峠は何度か場所を変えているようです。
現在は旧天城隧道の真上。かつては吉田松陰やハリスが越えた二本杉峠が旧天城峠であり、さらにそれより前は古峠が天城峠であったようです。
そして現在は伊豆縦貫道の建設が進んでいて、最大の難所である天城越えに取り掛かろうとしているようです。
再び天城峠の位置が変わることがあるでしょうか。周辺の自然や山が壊されないようにと願っています。
以前、滑沢峠と三蓋山の間の斜面がズルズルに崩落していて、辛うじて足の幅分の踏み跡を辿ってこわごわ抜けていましたが、修復してあり助かりました。
三蓋山までやってきました。久しぶりです。
富士山はもう雲の中に入ってしまいました。
三蓋山の頂上は広くてブナの木立が見事です。大ヤマグルマも久しぶりに再会しました。
ちょうどお昼。雨がポツリ、ポツリと時々木立を抜けてくるようになったので、ここで折り返すことにしました。
幸い雨は木立が防いでくれて、濡れずに戻って来ることができました。
よく歩きました。往復15㎞。
2月16日(木)雪の十石峠
雪の森は輝いて本当に美しく、誰の足跡もついていないところまで来ると何だか嬉しい。
いくつになっても雪道は楽しいもの。
と思うと、どうやら先客あり。
雪が降らないと判らない森の生き物たちの気配がします。
ハコネダケの作る雪のトンネルを抜けていきます。
東光寺の閻魔様と奪衣婆様も綿帽子をかぶっています。
石仏の道もすっかり雪。南に向いた暖かなこの斜面に雪があるのも珍しく、うっかりはまらないように残る足跡をたどりながら下って来ました。
今日は天城の山々も伊豆の島々もよく見えます。
この時期の楽しみは、やはりこれ。雪の中からやっとのぞいた薄黄緑の芽をいただいてきました。
今夜はフキノトウの天ぷらにして、残りはフキ味噌にしましょう。
2月6日(月)八丁池
水生地歩道を登り、本谷川が地中に潜るあたり、始まるブナとヒメシャラの森。
何という空の蒼! 心の底のウダウダつまらない、ちっぽけな思いなど吹っ飛んでしまう。
八丁池は全面凍結しています。凍結の最後の最後に行き場を失って氷が盛り上がった筋が水面にいくつも走っています。
「御神渡り」は諏訪湖が有名ですが、その八丁池版ですね。毎年氷紋ができますが、その時のお天気によって毎年違います。
帰路、定点観察のヤシャビシャクを確認してきました。
ブナのウロに移植されたT2はわずか一枝ながら元気です。冬芽が赤くプックリ膨らんでいました。
一方、T1の生えていた倒木は、すっかり地面に倒れ込んだせいで鹿にかじられてしまっています。このままでは生き残りは難しいので、移植を試みました。
何も道具がなかったので、かなりしっかりブナに食い込んでいる根を少し強引ながら何とか引きはがし、近くのブナの又のところに移しました。 鹿の口が届かないなるべく高いところに置きましたが、私の手がようやく届く高さでは養生の土さえかけてあげられませんでした。
ヤシャビシャクの生命力に期し、無事に春を迎えてほしいです。
目にすることはなかなかありません。
黄色い外皮をとると白い実が出てきて、その中に種があります。種の周りはものすごくねばねばしており、鳥が食べて落としたフンの中の種も粘って木の枝にしっかりへばりつくのだそうな。
植物の戦略は素晴らしい。
早春の花が咲き始めました。