3月10日(水) 十国峠
姫の沢公園は自然の山の斜面を利用した広大な熱海市の公園で、手入れも程よくされていますし、もともとの自生の植物もよく残っています。
標高差も250mほどあるので運動不足にはもってこいです。
ササっと近場で行きやすく、園内のさまざまなルートをその日の気分で選ぶこともできて、ここを起点とし十国峠や岩戸山までよく登ります。
入り口のサクラが満開です。熱海はアタミザクラから始まって次々にいろんなサクラが5月まで咲き継ぎます。熱海ではむしろソメイヨシノを見かけることの方が珍しく、世間でいうところのサクラ=ソメイヨシノという感覚がありません。
この桜も品種は分かりませんが、ソメイヨシノではなさそうです。
そこかしこ、春の花が咲き始めましたね。
ムラサキモクレン: ろうそくの火先のような無数の蕾が青空に向かって伸びていて今にも咲き出しそうです。
マメザクラ: まだまだ蕾は見えず。それでも枝先が赤くなってきました。
アセビ: ほとんどは白花ですが、ほんのり紅をさしたような色のアセビの花が満開でした。 アセビばかりが目立つようになった天城では厄介な存在ですが、花はとても愛らしい。
ヤマネコノメソウ: 意外に早く咲き始めるのですね。
他のネコノメソウの仲間も咲き始めているかもしれません。
早く見に行かねば。
フキノトウ: 実を言えば、コレが本日の目的。 ちょっとばかりトウのたったフキノトウをかなりトウのたった人がたんまり収穫いたしまして、今晩てんぷらとフキ味噌になる予定。
このうす黄緑色のフキノトウの何とも言えない春らしさ。
収穫できて大満足です。
1時間ほどで十国峠に到着。雲一つありません。 春めいて少し霞んだ富士山もお手本のよう。 天城の山並みも沼津アルプスも文句なし。
東光寺の石仏様: あまり人の通らない小径にひっそりと並んでいます。
ほとんどが半分ほど土に埋もれてしまっています。
忘れ去られたようで寂し気です。
3月4日(木) 天城山
出発地点から山頂を見上げたら、あらら・・・雪がうっすら被っています。
ダメなら引き返すつもりで出発。
さほど寒くはないものの、お天気はどんより今一つで、富士山も残念ながら見えません。
かつては2000m近い標高があったとされる天城山は20万年前まで噴火を繰り返してきた大型の火山ですが、現在の最高峰・万三郎岳は1406m。
噴火を停止してからは侵食と崩壊の一途をたどって今に至っています。
そこかしこに火山の名残りの荒々しい露頭が活発な時代があったことを偲ばせます。 このコースも来るたびに登山道の崩落や荒れが目立ちます。山は常に崩壊の過程にあります。
先日テレビで天城の森のコケの世界を紹介した番組を見ました。
「天城」は別名「雨木」。雨の多いところです。私たちには見慣れた光景ですが、天城の森のように苔むしたブナの森はどうやら珍しいようです。
崩落を繰り返してできた涸沢に累々と積み重なる岩の上にも厚いコケが付いています。
涸沢分岐からは万三郎岳へは延々と木の階段が続きます。これが結構きつい。
少し青空が見えてきましたね。
山頂近くの日陰にほんの少し雪が残っていただけで、心配したほどではありませんでしたが、そのかわり登山道はぬかるんでドロドロになってしまいました。
石楠立、馬の背を抜けて万二郎岳へ。
振り返ると歩いてきた山並みが見えます。
やはり3月。梢の先が赤味を帯びてきていました。
2月24日(水)
八丁池再び
先週に続き再び八丁池にやってきました。
全面凍結した真っ白な八丁池の写真で羨ましがらせてしまったので、今日は友人と一緒です。
青スズ台に寄ってみました。 天気予報は晴天でしたが、どんより寒い日でチラチラ小雪が舞ってきました。山頂の標柱ドウダンツツジは元気です。
ここも鹿の食べないアセビばかりがどんどん背を伸ばしてきて、景色も見にくくなってきました。
三角点を囲むように生えたイヌツゲもきれいに鹿に刈り込まれてしまっています。
本日の八丁池です。 残念ながらすっかり融けてしまっています。
なかなか思い通りにはいきませんが、この森もこの池もいつ来てもいつも違った美しい姿を見せてくれます。
お化けリョウブ: 脇からどんどんひこばえが出て束のようになった巨大なリョウブです。
真中に人が通れるほどの穴が開いています。
この木には他のたくさんの植物が寄生やら着生やらしていて、一本で何倍もお得な感じ。
ヤマグルマ: 森にはたくさんのヤマグルマが生えていますが、どれもこれも奇妙な樹形のものばかりです。
他の木の枝の間などから芽を出して、元の木が倒れようが朽ち果てようがお構いなくそのままどっこい生き残るため、地面に寝たような姿が多いのも頷けます。
天城ではよく見かける植物ですが、1科1属1種の珍しい植物で、仲間がいないだけに何としても生き残ろうという意思があるのかもしれません。私も友人も一度もまだ花を見たことがありませんので、今年の春は是非めぐり逢いたいものです。
2月19日(金)八丁池
昨日までビュウビュウと吹き荒れた風がようやくおさまり、週末は暖かくなるというので出かけてきましたが随分と冷えています。
水生地はうっすら雪化粧をしており、これは期待できそうな予感。
久しぶりに本谷川沿いの道をゆるゆる登ってくると、いつもは薄暗い谷あいの川辺は雪が付いて明るく陽に輝きます。
本谷川の水音は高く、一つ目二つ目のワサビ田が見え始めると、水音もくぐもって、ほどなくパタリと土の中に消えます。
この源流部辺りからブナとヒメシャラの森が始まります。私の住まいも静かなところですが、やはりこの天城の森の、ましてや今日のような雪景色の静けさはどうでしょう。
雪がうっすらと積もったおかげでだれもまだ歩いていないことが分かります。なんだか嬉しくて足跡をつけてみます。
期待どおり。
真っ白な八丁池です。
全面凍結した八丁池は見たことがありますが、その上に雪化粧した八丁池は56回目にして初めてです。
伊豆の島々、南アルプス、富士山。
今日はどこを見ても最高の景色でした。
冬もまた良きかな。
2月10日(水)
パノラマ台
精進湖畔からの富士山です。
大室山や長尾山、片蓋山などの多くの側火山を胸元の抱いたような姿。子抱富士と呼ばれています。大きな宝永火口の見える伊豆側からの富士山の姿とはまた違います。
集落の中に諏訪神社があり、樹齢1200年とも言われる精進の大杉はこれまで見た中でも最大です。
社の脇にももう一本大杉があり、精進の大杉ほどではないもののこちらも巨木です。
ここからかつて駿河の国と甲斐を結んだ旧中道往還を辿っていくつか砂防堰堤を越え、沢沿い山道をジグザクと登っていきます。
女坂峠まで登ってくると眼下に精進湖と木立越しの富士山が見えてきます。
この辺りからブナやミズナラが目立ち始め三方分山に登っていくにつれて今度は北側の木立の向こうに真っ白に輝くような南アルプスの山並みが見えてきます。
今はとても便利な時代になりまして、スマホをかざせばどれがどの山と即座に教えてくれます。登ったこともないのにほ~~と感心しきりです。
この時期にしては暖かで穏やかの日和で、左手に富士山、右手に南アルプスの山並みを眺めながらの尾根歩きはなんとも贅沢。
三方分山から精進山、精進峠を経てパノラマ台まで下りてきました。
パノラマ台はまさしくその名のとおり、文句なしの絶景スポットです。
広大な青木ヶ原樹海にそびえる富士山と精進湖、本栖湖、西湖に河口湖。御坂山系の山々。
やっぱり富士山は天下一、というしかありません。
富士五湖周りにはまだまだ歩いていない山がたくさんあります。
また来るとしましょう。
2月3日(水) 玄岳探索
今日は立春。
昨日の雨で水蒸気が上がり景色は霞んではいますが、光の春の名にふさわしい晴天です。
1時間もすれば玄岳山頂に到着します。残念ながら富士山には雲。 それでもこのところの雪なし富士ではなく東麓には随分と雪が積もっています。
低山の多い伊豆半島の中で360度の景色を楽しめる数少ない山頂です。
玄岳から箱根方向を見ると、伊豆スカイラン沿いの玄岳インター近くに玄岳ドライブインが建っています。
絶景の場所にありながら廃墟です。
かつては旧百万石ホテル、現在のリゾナーレ熱海にロープウエイの辺りに麓駅があり、この玄岳ドライブインとを結んでいたという話は聞いたことがあります。
改めて調べたこともなかったのですが、初めて調べてみました。
旧百万石ホテルの建つ前には熱海サボテン公園があったそうです。
当時は観光開発ブームに乗って大型施設の建設が盛んに行われてた時代で、ご多分に漏れずブームが去ることも早く、行け行けで波に乗ろうとした人たちの放漫経営による倒産という道をたどったようです。
1967年に開業、1970年には早くも休止となっています。
あの廃墟はすでに半世紀以上もあの姿のままということです。
玄岳山頂から見ると何となく道らしき跡が見えるので行ってみました。初めて間近で見ました。 世間には廃墟訪問マニアといった人たちもいるようですが、当時の人たちの夢の残骸、なんともやり切れない思いにとらわれます。
さらにその先681mピークを目指して歩き始めてみました。
玄岳山頂から見ると、ツルっとした芝生にところどころ樹々があり、まるで箱庭のようにのどかで歩きやすそうに見えますが、どうしてどうして。
実際には背丈より高いササとススキの原で掻き分け掻き分け進むのはなかなか容易ではありません。
途中で潔く断念。引き返して氷が池へ。
富士山がようやく見えてきました。
帰路も境界域の道標を頼りに昨日の雨でズルズル滑る急斜面をよじ登り、またよじ登って玄岳までまた登り返すようなルートをとって戻ってきました。
まだまだ知らないところがたくさんあった玄岳探索でした。
1月21日(木) 八丁池
朝は冷えたもののお日様とともにどんどん暖かくなりました。
富士山も霞がかかっており、相変わらず雪がほとんどありません。
近頃は降れば狂ったように降り、降らないとなると全くのだんまり状態で、冬の富士山の姿まで変えてしまうほど。自然にも中庸があればいいのですが。
こちらは半分凍った八丁池です。 水も随分と少なくなっています。
不思議なことに人の足跡のようなものが付いています。どう見ても動物のものではありません。
歩けるほどに氷が厚いようにも見えないのですが、どうでしょう。
冬の森は陽の光が地面まで届き、降り積もった落ち葉が黄金に輝いています。
葉を落とした裸木は空に向かって存分に枝を伸ばして、隅々まで陽を浴びて春の準備をしているのでしょう。互いに寄り添って何やら囁きあっているかのようにも見えます。
清々として美しい森です。
陽だまりで、早くも咲き始めたミツマタとオニシバリの花です。
いずれもジンチョウゲ科で、オニシバリの花は微かながらジンチョウゲのように爽やかな甘い匂いがします。
厳冬のこの時期、いつもですと滅多に人に会うことはありませんが、今日は平日にも関わらず、なんと7組も出会いました。
息苦しい街から逃れて一息つきに来ているのかもしれません。
山の帰りにいつも立ち寄っていた温泉は軒並み閉じていて淋しい限りです。
以前のような平穏な日々はまた帰って来るでしょうか。
1月14日(木) 須崎遊歩道
一昨日は雪が降ったのに、今日は一転春のような陽気になりました。
下田まで南下して来ると伊豆七島は水平線にずらりと並んで見えるはずですが、一番近い伊豆大島の姿さえ見えません。
沖を行く船も霞んでいます。
下田付近は伊豆半島の中でも古い時代の大地で、噴火した海底火山から流れ出た溶岩や火山灰、軽石などが堆積してできています。およそ1500万年前から数百万年前のことと言われていて、言ってみれば伊豆半島の卵の時代の地層ですね。
その後、本州に衝突して隆起した大地が今日歩いている須崎の海岸です。静かな砂浜の広がる九十浜から歩き始めます。
タカンバ: 火山の痕跡そのもののような海岸は熱水によって赤茶けていて、無数に走る岩の亀裂には水晶や沸石の結晶ができています。
爪木崎はちょうど水仙まつりの最中でしたが、自粛下の影響か人出も少ないようでした。スイセンもさることながらアロエの花も見事です。
俵磯: 爪木崎の海岸には見事な柱状節理の浜が広がっています。
細間の段: 石丁場跡の残る海岸、山側にも何か所か切り出した跡が見られます。案内板を見ると随分とたくさん島があること。 私の知っているのは七島に鵜渡根島と神子元島くらいです。1500万年前の伊豆半島は海に島が散らばるこんな風景だったのかもしれません。
恵比寿島: 太古の海の痕跡が色濃く残る斜交層理と呼ばれる火山灰や軽石の作る美しい縞模様や、雷おこしのような水底土石流の巨大な岩塊、島の周りに広がる平らな千畳敷。
かつて海底にあった地層が隆起と侵食を受けて、今、私たちの目の前にあるというのは何とも不思議でダイナミックです。
いろいろな縞模様、累々と重なる土石流の塊、太古の海でどのような事が起きて、潮流はどのように流れていたのか、どのような地殻変動が起きたのか、どんな生き物がいたのか・・・想像が広がっていきます。
遥か太古の海と大地に思いをめぐらせば、今のコロナ禍もほんの一瞬の小さの出来事に過ぎないのでしょう。息苦しい暮らしが続く中、暖かな海を眺めながらゆっくり歩くのは頭も空っぽになって気持ちいいことこの上なしでした。
オオキンカメムシ: ずいぶんと派手ないでたち。遊歩道で初めて見かけたテントウムシのようなカメムシのような。 よく見れば付近にはたくさんいました。友人が調べてくれて判明。 カメムシの仲間だそうで、集団で越冬するそうな。どうりで一匹見つけると次から次へと近くで見つかるはずです。熱帯系らしく、熱海では見たことがありません。
1月9日(土)函南原生林
最初の緊急事態宣言の時は山歩きの起点となる駐車場も軒並み閉鎖されましたが、今回はいずこも開いています。
せめても歩くことができてうれしいです。
寒中らしく冷え込みました。
空気は澄み、空は抜けるように青く、水もまた空気のように透き通って美しい紫水池です。
真冬の原生林はまた一段と静かです。
林床は枯葉と霜柱に覆われてじっと春を待っています。
原生林を代表する高木はブナ、ケヤキ、ヒメシャラ・・・木肌をまじまじ観察してみれば、なかなかに面白い。
ケヤキ: 大木が多いので木肌もうろこ状に割れています。
たくさんのコケや地衣類が同居しています。このうろこ状の樹皮を剥がすといろんな虫が隠れているといいます。 冬ごもり中につき遠慮いたしました。
ブナ: 同じブナでも天城のブナはずんぐりむっくりで大きく枝を広げる形ですが、函南のブナは背が高く、枝は左右に広げるというより空に向かって伸びているような感じです。他の樹々に負けじと陽の光を求めて上へ上へと伸びたのでしょうか。木肌は割とツルリとした灰白色で、ケヤキのように樹皮が剝がれません。
ブナにもたくさんのコケや地衣類が同居しています。
アガリコのあるブナが多いのもここの特徴でしょうか。
アガリコは枝が折れたりしたところを木自身が修復したかさぶたのようなもの。
ヒメシャラ: 樹皮が剥がれてツルツルの木肌が美しい。
天城にも多いのですが、樹皮の色は函南の方が赤っぽいようです。
イヌシデ: 大木になると樹皮が美しい網目状になります。
この網目を見ただけでイヌシデと分かります。
アカガシ: 林内には樹齢700年とも500年ともいわれる主のような巨木があります。
大木の木肌は割れが目立ちます。
イヌガシ: カシと付きますが、クスノキ科です。 初めてじっくり木肌を観察。 小さな丸い皮目があって、大きな木には地衣類が模様をつけていますね。
水辺にワサビの新芽とミズバショウが頭を出していました。
凍てつく冬を越えて、私たちもまた明るい春が迎えられますように。
12月29日(火)
八丁池
今年も新年の初歩きに始まり、歩き納めも八丁池です。
天気予報は降水確率0%、晴天だったはずですが・・・ このところ雪のない富士山でしたので、ようやく昨日うっすら雪化粧をしたところを今年最後に見ようと本谷歩道を回って行ったのに残念。 雲隠れです。
八丁池です。
随分と減っており凍りかけています。 明日からは寒波がやって来るそうなので全面凍結しそうです。
いつか見た美しい氷紋の八丁池にまた出会いたいものです。
どんより垂れ込めた雲間から南伊豆の神子元島が見えます。
そこだけ陽が射して、まるで別世界を覗き見ているかのようです。
今年も一年無事に怪我なく山歩きを楽しみました。
この息苦しい状況の下でさえ、身近で自然の中に身を置けるのは幸せなことです。
来年も歩きます。
12月26日(土)
十国峠から石仏の道
今年最後に地元の山をひと歩きしてみました。
十国峠の眺望はやっぱりいつ来ても素晴らしい。清々晴れ晴れとした気分になります。
今年の富士山に、この時期でこれほど雪がないとは滅多にないことです。
関東にも伊豆にもこのところほとんど雨が降っていない影響だそうですが、富士山の雪解け水がないと来年の夏は水不足になるのではないかと心配です。
東光寺の閻魔様と奪衣婆様にも今年最後の挨拶をしてから、岩戸山まで歩き、折り返して石仏の道を下ります。
きれいに草刈りがされています。
草原の草花たちにとって、こうして定期的に草刈りがなされる環境がとても大切なのです。春が待ち遠しくなります。
12月15日(火) 天城山
久しぶりでもあるし、アマギシャクナゲとトウゴクミツバツツジの咲く5月にしか来たことがない天城山。
コロナの自粛もあるでしょうが、さすがにこの時期登山者駐車場には先着2台のみ。
たいていの人は時計回りに万二郎岳、万三郎岳の順に歩くようですが、私たちは時計とは反対周りに歩きます。
冬木立の背景は雲一つない青空。
さすがに寒くて外に出ている顔が寒い。
伊豆の最高峰の万三郎岳でも1406m。
さあっと開けて眺望のきくところはほとんどないのでつまらんと言う登山者も多いのですが、葉を落とした樹々の向こうに富士山や駿河灘、南アルプス、箱根連山、田方平野や静浦山地がちらちらと見え隠れするのも趣があって私は好きです。
万三郎岳山頂からは一旦急な下り。
目の前に立ちはだかるように見える山が万二郎岳かと思いきや、いえいえその山の向こうに隠れているようで。
下ってから今度は登り、石楠立からアセビのトンネルを抜けて馬の背を行けばようやく万二郎岳が見えてきます。
久しぶりのせいか、こんなに万三郎岳と万二郎岳の間はあったっけとブツブツ言いつつ最後の急登を登ると万二郎岳に到着です。
展望台からよくよく確かめてみます。
なるほど。奥に少し尖ったような山が万三郎岳、その手前が馬の背ですね。
厳冬の天城山。
万三郎岳から万二郎岳に至る稜線からは、左には富士山、正面には相模灘や遠笠山、大室山。
もちろん三浦半島も房総半島も見えています。
右には伊豆大島、利島、新島、式根島、神津島、三宅島まで見えています。
駿河灘と相模灘に挟まれた付け根を見れば、まさしく地図で見るような伊豆半島の形をしています。葉の生い茂る春夏ではこうはいきません。
花はないけれど、飛び切りの冬景色の天城山です。
12月9日(水) 宇佐美散策
久しぶりの宇佐美の海岸。 寒そうな冬空。 川奈崎と手石島が見えています。
断崖絶壁の多い伊豆の数少ない砂浜のある宇佐美海岸を網代の方に歩いていくと、すぐにゴロタ石の浜になります。しばらく行くと大崎火山の噴出物の露頭が現れます。
伊豆で大型火山の噴火が続いていた70万年から80万年前に噴火したといわれる大崎火山は小さな規模だったようですが、風化が進んではいるもののダイナミックな大地の痕跡が残っています。
途中の海岸にこんこんと温泉が湧いていました。
かなり熱く塩泉です。これも火山活動の名残りです。
伊豆の東海岸にはいくつもの石丁場跡がありますが、まだ行っていなかった離山に友人が案内してくれました。
海岸から急斜面を登って標高154mほど。
矢穴跡や刻印が刻まれた石がそこかしこに残っています。
江戸城建造のために切り出されながら、割れてしまったり、取り残されてしまった石を残念石と言っています。
長らく山の中で残念ながら眠っていた石を、今私たちが目にすることができるわけですから、日の目を見る時が来ることもあるということです。
旧宇佐美隧道: こちらは現代の遺跡と言っていいでしょうか。 今の宇佐美トンネルはもう一つ山側を通っており、この旧隧道は使われていません。垂直な断崖に取り残されて、道路の中央線には割れ目が伸び、いつ海に崩落してもおかしくないような状況です。景色は抜群ですが。
カミヤツデ: 巨大な葉、外来種です。
135号線を小田原方向に走っていくと、一つの山がこのカミヤツデに覆い尽くされてしまっているところがあります。
この茎から通草紙が作られたそうですが今やその需要はなく、野生化してしまって在来種に悪影響を及ぼす恐れがあります。宇佐美の海岸にも点々と小群落ができていました。