2月12日(水)
十国峠から石仏の道へ
天気予報は晴れ、暖かくなる・・・・・でしたが。 今夜からの下り坂を先取りしたような空模様。おまけにビュービュー吹き荒れる風。 遮るもののない十国峠はまるで洗濯機の中にでもいるかのようです。
あまり期待せず登って来たのですが、空気が澄んでいるのでしょう。
真白な富士山、前方左手には愛鷹山塊の山並み。
その二つの谷間奥の彼方に真白な塩見岳。
グルリと見回せば相模灘に浮かぶ島々に天城の山並み、達磨山から大瀬崎が駿河灘に浮かび、田方平野に沼津アルプス。
箱根の山の上には雪雲が被っています。
今年初めてのこのコース、東光寺に参拝。
奪衣婆様にもあいさつしてきました。
十国峠から岩戸山までは、ほぼ平坦な尾根歩きとなり、人の背丈の2倍は優に超えるハコネダケのトンネルが吹き荒れる風から守ってくれます。
石仏の道ではちょうど草刈りが行われていました。
こうして定期的に草刈りが行われる草原には草原特有の植物たちが豊かに成育します。
今年の春は楽しみです。
ワラビもきっとたくさん芽を出すことでしょう。 こちらも楽しみ。
空に浮かんでいるのか海に浮かんでいるのかわからない初島や伊豆大島を眺めながら下って来ました。
オオバヤシャブシ: 伊豆では至る所で見かけます。
フォッサマグナ要素の植物でヤシャブシとは雄花と雌花の付く位置が違うので見分けることができます。もっとも今のところ伊豆でヤシャブシを見かけたことはありません。
石仏の道にあるこのオオバヤシャブシの大木は半径10mほどもあるでしょうか。
美しい姿です。
1月30日(木) 城ヶ崎海岸
その美しさと荒々しさ、今しがた流れてきた溶岩の音が聞こえそうな海岸の地形は、何度歩いても新鮮な驚きです。
およそ4000年前に噴火した大室山は今ではツルリとプリンのような形をして穏やかな何食わぬ顔をしていますが、海に向かった流れ出した溶岩は谷間を埋めてなだらかな伊豆高原を作り、さらに海に達して変化に富んだ美しい城ケ崎の海岸を作りました。
地形図を見てみると、流れ下った溶岩流が海に向かってタコ足のように伸びているのがよくわかります。
城ヶ崎海岸は火山の作り上げた様々な自然の造形のオンパレードです。
舟形: 舟形をした深い谷に門脇の吊り橋が架かっています。
溶岩が流れてくると外側は冷えて固まり、内部に熱い溶岩が流れます。やがて内部の溶岩がすべて流れ下り、外側だけがトンネル状に残ったものを溶岩トンネルといいます。
この舟形は天井部分が崩落してしまった溶岩トンネルの跡です。
穴口: 真下にポッカリ穴が開き、海面が見えています。
これも溶岩トンネルの跡。
かんのん浜のポットホール:久々に再訪。
かんのん浜のゴロタ石を辿って突端まで行くと見ることができます。
直径70cm。
岩と波の作り出した見事にまん丸なボールが波で洗われて動きます。
ポットホールは至る所に見られますが、ボールが残っているのは稀で、ましてやこれほど巨大なポットボールはさらに珍しい。
柱状節理: おおばい・こばい、、かさご根、大淀・小淀それぞれに多様な柱状節理が見られます。
その様々な形を見ていると、どのようなところにどのように溶岩が流れてきたのか、まるで目に見えるような気がします。
今日は富戸から八幡野まで12km近くを歩きました。
観光客はほとんどが2つの吊り橋周辺だけですので、美しい海岸と青い海を独占してきました。
石喰いモチノキ: 根が石を抱いている木はたくさん見かけますが、このモチノキは途中に石を抱き込んでしまっています。
珍しいですね。
キジョランの種: やっとめぐり会いました。
種の部分が平たく、間違えやすいテイカカズラより綿毛も長い。
今日はいくつも落ちていましたが、どれだけ注意して辺りを見回しても本体は見つからず不思議。
1月22日(水)
大平山から柏嶺
明日からまたしばらく雨続きの天気予報が出ているので、チョイと近場にやって来ました。
丸山公園から大平山、柏峠を経て柏嶺を回って再び丸山公園へと戻ってきます。
大平山の標高はわずか577.7mながら、出発地点は80mほど。 一気に500m近く登ります。
大平山を過ぎても急な下りが何カ所かあって、運動不足の体力維持にはちょうど良いコースです。
柏嶺からは相模灘に浮かぶ初島、伊豆大島、伊東の街並み、大室山から矢筈山、遠笠山から天城山が一望ですが、空もどんより、海もどんより、先週の雪が残る矢筈山や遠笠山の上には雪雲がぶら下がっているようです。
今日は陽射しもなく凍える手でおにぎりをサッサと食べて帰路につきました。
この辺りには鉢ケ窪火山のスコリア層が厚く堆積した断面が見られる場所がいくつかあって、その美しい重なりや所々めり込んだ火山弾をゆっくり観察。私にとってはこれもまたなかなかのごちそうです。
ユーカリの林:丸山公園から大平山にかけて紙の原料確保のために戦中に植えられたというユーカリ林があります。 樹皮が剥ける独特な風体、異質な一帯です。 ユーカリには数百とも言われる種類があるそうですが、この辺りのユーカリはすべて葉が三日月のように弧を描いたような形をしています。
1月15日(水)
修善寺・いろは道
807年に弘法大師が開いた修禅寺は、真言宗から臨済宗の時代を経て、現在は曹洞宗のお寺となっていますが、弘法大師のゆかりの史跡、伝承は修善寺の街に数知れません。
これは修善寺に限ったことではなく、日本全国津々浦々、真偽のほどは定かでないことも含めて弘法大師にまつわる史跡、伝承の多さを見れば、さほどに尊崇され、敬愛されてきたという証でもあります。
早朝きれいに掃き清められた清々しい修禅寺に久しぶりに参拝。
修善寺(しゅぜんじ)と言っているのは町の名前で、お寺は正確には「修禅寺」、呼び方も正確には「しゅうぜんじ」です。
いろは道には、弘法大師の作と伝えられる「いろは歌」47文字に「ん」を加えた48文字が刻まれた石碑が修禅寺の「い」から奥之院の「ん」までの道標として建てられていて、その文字を辿って行けば自然と奥之院まで案内してくれます。
湯舟川沿いのいろは道は、100万年から50万年前にかけて噴火を繰り返した大型火山の達磨山のちょうど東側にあたり、緩やかな斜面が続いています。
道の入り口、修善寺の紙谷地区にある石丁場では凝灰岩質の軟石、海底火山の名残りが見られます。
達磨山の噴火よりもさらに遡り、伊豆がまだ海底火山であった時代の地層が浸食によって地上に現れたところです。
修善寺の川床にも同様の地層が見られますし、温泉も海底火山の地層から湧き出しています。
いろは道を修善寺の町からゆるゆると奥之院まで登って行くと、知らず知らずのうちに伊豆の海底火山の時代から大型陸上火山の時代の地層の上を辿っていくことにもなり、穏やかな山里の風景も随分とダイナミックに感じます。
奥の院: 弘法大師修行の場と言われ、降魔壇という修行石と阿吽の滝があります。 達磨山火山の溶岩流が見事な板状節理を刻んでいます。
桂大師: 奥之院からさらに1時間。弘法大師が置き忘れたカツラの杖から芽吹いたと言い伝えられる樹齢1000年というカツラの大木があります。
途中、数カ所沢があり、流れで丸太橋が壊れていたりして、本当によく行き着けました。 山奥の見事な古木でした。
1月9日(木) 伊豆三山
城山、葛城山、発端丈山の三つの山を伊豆三山と呼んでいます。
低山ながらいずれも急峻で、登って下りて、登って下りて、またまた登って下りての繰り返し。
結構堪えます。
城山の登り口から見上げる垂直に切り立つ南壁は迫力満点で、この上まで歩くのか・・・・と思うのは毎度のこと。
今日はまだロッククライマーの姿はありませんが、途中ゲレンデに向かう道標がいくつかあり、行ってみたい気持ちになるのも毎度のこと。
岩登りはもちろん無理ですが、どんな景色が見えるのでしょう。
暖かな陽射し、風もなくいずれの山頂からも眺めは文句なしです。
富士山や駿河灘、南アルプスもさることながら、眼下に広がる伊豆の国の街並みや蛇行する狩野川は手が届きそうで、低山ならではの面白さがあります。
昨年の台風の被害は登山道のそこかしこ、倒木は多く、発端丈山の山頂にあったイチョウの木も倒れていました。
立ち寄った益山寺にある伊加摩志神社の裏手でも大きな木が倒れていましたが、境内の大イチョウと大カエデは何とか無事でした。
帰路は石仏様の佇む参道をゆっくり下って来ました。
西国三十三観音、いろんな観音様がおられます。
益山寺の御本尊が千手観音ですので、参道にも千手観音様が多いようにも思われますが、風化も進み分かりにくくなってもいます。
白鳥山: 採石場となっており、剥き出しの山肌には見事な柱状節理が見えます。 昨年来た時よりも山が低くなっているような気がします。採石場ですから当たり前でしょうが、いつかこの山は跡形もなくなってしまうのだと思います。
伊豆三山の帰りはいつも伊豆長岡の「あやめ湯」に立ち寄ります。
珍しく私が一番風呂。誰もいなかったので写真を撮りました。昔懐かしい何とも味のある風情。 とても熱いお湯ですが、汗をかいた後は本当にさっぱりすっきりします。
1月3日(金) 初歩き
昨年末下った尾根を今日は登ってみました。
天城の至るところ鹿の食害が酷く、老木ばかりで次世代が育っておらず、とても心配なのですが、この辺りの尾根は若木が多いのが嬉しい。
ふと振り返ると冬木立の間から輝くような南アルプスの峰々が覗きます。
夏は鬱蒼とした森も、冬枯れのこの時期はとても明るくて対岸の尾根も透けて見えますし、あちこちで富士山の姿も垣間見ることができます。
久しぶりに青スズ台に寄ってみました。
頂上付近のアセビはどんどん大きくなって、そのうちに南伊豆の海も風車群も見えなくなりそうです。
八丁池です。
昨年、やはりおなじ1月3日に来た時は美しい氷紋を浮かべ全面凍結していましたが、今年はかけらもありません。
枯葉にうっすら霜が降りている程度で暖か過ぎるほどの冬です。
ポカポカの水辺でお昼を食べて、今年一年もまた元気で歩けますようにと願った初歩きです。
12月20日(金)
八丁池
今年最後の八丁池。
一人で来ると、その日その時思いつくままに道を変えたり、歩いたことのない尾根を辿ったり、気ままに歩きます。
葉を落とした冬木立の森はとても明るく、見上げる梢の先の青空は天井がないのか底がないのか・・・抜けるようです。
富士山の美しいところにやって来ました。
今日は南アルプスの山々も空にポッカリ浮かんでいます。
大ブナとヤシャビシャク: 定点観察中のヤシャビシャク。
すっかり葉を落としていますが、ポツポツと残るのは実なのか、新芽なのか。
高すぎて分かりません。 ヤシャビシャクはブナなどの老木の高いところに着生するため、間近でなかなか見ることができませんが、落葉の時期はその葉を手に取ることができます。
掌のような可愛らしい葉ですね。
源流部: ブナやヒメシャラの森の中、地面を切り裂く稲妻のような小さな沢が走っています。
水は土に潜り、大雨でもない限り地表を流れることはないのでしょう。
どういう訳か、源流部に心惹かれます。
12月11日(水) 大山
熱海から東京に向かって車を走らせていくときれいなピラミッドのような形の大山が見えますし、伊豆半島の至る所、その姿で「あそこが丹沢」と分かる丹沢代表のような山です。
「安夫利神社下社」まではケーブルカーがあるために観光地でもあります。
私たちは一応山登り、歩きます。
下社までは男坂。 登っても登っても続く急な石段。
下社を過ぎれば見晴台まで等高線沿いになだらかな登りです。