3月29日(木) 手引頭
手引頭の大ブナです。ようやく来ることができました。
天城峠から始まる伊豆山稜線歩道は全長42㎞。
一度に歩くのは無理な上、交通のアクセスも良くありません。
手引頭はその最深部にあたり、今日は一人身軽だったので、地図読みの練習も兼ねて来てみました。
天城にはいたるところ見事なブナがありますが、さすがにひと際大きく、自らの重みをヒシと受け止めているような姿です。
天城峠から尾根に登ってしばらくするとマメザクラの群落、898mピークの美しいブナ林にも再会しました。
忠実に尾根を辿っていきます。
滑沢峠までは以前に一度地図読み自主練に来たことがあるので、今回は少し余裕あり。
一度目はゆとりゼロでこんなに富士山がよく見えるなんて気が付きませんでした。
手引頭から折り返した1022mピークが長沢頭というのでしょうか。
ブナだけでなくヤマグルマの巨木も多いものの、かなり荒廃も進んでいて、つげ峠あたりのブナの立ち枯れはとても心配です。
帰路は時短のため登山道を歩いてきました。
3時を回った頃、古峠あたりで女性一人に会いました。大きなリュックでこの時間から歩くということはテント泊でしょうか。
テント泊、一度は試してみたいけれど・・・
湧き水: 岩の間からわずかに滲み出している土の中からしきりにカエルの鳴き声。
土の中にも春。
残雪: 春分の日の雪が今だところどころに残っています。
滑沢峠の温泉: 温泉の表示板あり。ここに涌いているのか????
不思議。
3月23日(月)
伊東の山
山歩きを始めた頃によく歩いたコースに、久々に芽吹きの春の植物観察にやってまいりました。
丸山公園から鉢ケ窪、柏嶺、馬場平を経て大平山へと、いつもとは逆回りです。
その訳はあとで分かります。
鉢ヶ窪火山: 今日の火口には水が溜まっています。
柏嶺: 広いカヤトの原で、景色が素晴らしい。 実のところワラビ目当てでしたが、ちょっと早すぎたようで・・・
タブノキ: 花芽と葉芽は別であることが多いのですが、珍しく混芽。プックリふくらんでいます。
今にもメラメラと葉が出てきそうです。
伊豆には多いクスノキ科の照葉樹の一つ。
ヒトリシズカ: フタリシズカはよく見かけるものの、ヒトリシズカは初めて。
可愛らしい。
ウラシマソウ: マムシグサやテンナンショウと同じ仲間で、糸状の付属体が花から長く伸びて、浦島太郎が釣り糸を垂れているかのように見えるので付いた名前。
この釣り糸は何のためにあるのかわかりませんが、面白い造形です。
ユーカリ: パルプの代用品として戦中に植えたと言われるユーカリが伊東市にはあちこちにあります。
実を初めて見ました。
アオキ: 5㎜程の小さな雄花。
咲いているのは雄花ばかりで、雌花は少し時期を遅らせて咲きます。
シキミ: 仏花としても使われるシキミは猛毒ですが、花はとても美しい。
植物観察の締めは最終地の竹藪です。
本日のメインイベントは、成果を期待して最後にもって来たという訳です。
イノシシの掘った跡はあるものの、われら人間には見つかりません。
諦めつつ下の竹藪に降りてきたところ、まずは1㎝程頭を出したタケノコを友人が発見!
イノシシの気持ちになって探せばいくつかあり!!
とはいうものの、とてもイノシシのようには掘れないので、スコップとともに友人のご主人を呼び出して、めでたく収穫しました。
出始めのタケノコ。 抜群の美味しさでした。
イノシシの気持ちが良くわかる。
余談ながら、タケノコを茹でた鍋の蓋が頭に落ちてきて頭にけがをしたらしい友人は、「イノシシのたたりか」とメールを送って来ました。 爆笑してしまいました。
3月15日(木)
三筋山から八丁池へ
凍った八丁池を見たいという友人のリクエストあり。
風は強いものの先週までの寒さはどこへやら、暑いほどの一日で、はてさてどうでしょうか。
地図読み師匠Mさんの案内で、行き慣れた水生地からではなく三筋山から尾根を伝い、東の猿山、臼井山、青スズ台を経て八丁池へと初めてのコースを歩きました。
三筋山も麓の細野高原も山焼きが終わって、焼きたて真っ黒です。
あと1か月もすればワラビの草原になります。
三筋山山頂から今日歩く尾根がずっと見えています。
Mさんによれば、昔はいい尾根だったとの由。
今はずらりと並んだ風車の下、不気味な風切り音とその巨大さに落ちてくるのではないかと怖くなります。
風車が途切れ、ようやく天城らしいブナとヒメシャラの森になってくるとホッとします。
天城のブナは美しいですね。 いつまでも美しい森であってほしいと思います。
東の猿山:
誰が掲げたか・・・「東の猿山 らしい」という木札に微笑んでしまいます。
東があれば西もあり、西の猿山は昨年、やはりMさんの案内で登りました。
昔は猿がいたのでしょうか。
今や猿は里山の方が住みやすいらしく、山を下りてしまっています。
青スズ台: 臼井山を経て青スズ台へ。 頂上のドウダンツツジは健在です。
八丁池: はい、見事に氷はありません。 残念でした。
まだまだ冬木立の八丁池ながら春間近、この時期にしては富士山のよく見える一日でした。
3月7日(水) 東海岸の石丁場
宇佐美の浜です。
このところ雨続きで、今日も曇天の寒い日ですが・・・
城や石垣に興味があるという渋好みの娘ほどの年若い友。
かねてからの希望で石丁場に案内することになりまして、集まったいつもの山歩き仲間のオジサン、オバサン3人は何となく嬉しく、石丁場に向かう前にまずは地元の史跡を訪ねました。
旭光山行蓮寺: 寛永(1633年)、元禄(1703年)の震災の供養塔もあり、関東大震災(1923年)の時の津波の到達点も石段に刻まれています。
繰り返されてきた地震と津波のこの間隔も見れば、いつ自分たちの身に降りかかってもおかしくないのですね。
宇佐美一族墓所:城山の麓にひっそりと祀られています。
比波預天神:1000年以上の歴史を持つ古い天神社です。ホルトの木を再訪。半分以上が枯れてはいますが、変わらず大きい。
ナコウ山の石丁場へと入ってきました。
江戸城築城ののための石の多くは、熱海や宇佐美、伊東などの伊豆東海岸から運ばれています。
多賀火山や宇佐美火山の良質な石が豊富であったことや海上輸送にも適した土地であったからでしょう。
色々な刻印を探しつつ歩きます。
沢を境に陣地が変わるようで、刻印も変わります。
刻印は担当した大名の印であり、ナコウ山の山頂には「羽柴越中守石場」の標石もあります。
石を割るための矢穴のあいた石、積み出すために並べられたと思われる列も見受けられます。
機械も重機もなかった時代、石を一つ海岸まで下ろすことを考えただけでも、今の私たちにとっては気の遠くなるような作業に思われます。
刻印一つだけでも掘るのに一週間はかかりそう。 時間の流れ方が違うのでしょうか。
若い友はナコウ山を下りて今日はここまで。石丁場、どうだったでしょうね・・・?
面白かったでしょうか。
われら3人は多賀の中張窪石丁場へと移動。
中張窪の372mピークまで、多くの刻印石や矢穴石が散在しています。
前回はピーク手前で引き返しましたが、今回はピークを越えて地獄沢まで下りました。
地獄沢も熱海最大級の石丁場です。
急斜面を降り切ると、のほほんとした多賀の里山です。
かつてこの静かな山里に住人の何倍もの労働者がいて、多い時には江戸と伊東の間を3千艘もの船が月に2度往復したと言われるほどの賑わいであったといわれています。 そして今は山の中に静かに埋もれつつある石丁場の跡。 不思議な思いにとらわれる場所です。
2月27日(火) 下田の三山
伊豆半島を、南へ南へと下って下田へ。
はるか昔の海底火山の名残りの山々を訪ねました。
低いながらも急峻な岩山が多く、なかなかに登り応えあり。
下田富士: かつては「女人禁制」だった山頂に浅間神社が祀られています。
日本全国「富士」と名の付く山は数あれど、どうやら一番低いらしい。
チョチョイと行けるかと思いきや、登ってみれば頂上に近づくにしたがって「一岩山」の名のとおり岩ゴロゴロの相当な急登でした。
高根山: 山頂の地蔵尊への参道と思われる山道を、蓮台寺から丁目石を追うようにしながら進むと高根山です。
眼下には白浜、爪木崎、海と空に溶けるように島々が浮かぶ絶景はすっかり春の趣きでした。
寝姿山: 遠くから見ると女性が寝ころんだ姿に見えるそうですが、上を歩いていると分かりません。ロープウエイでも登って来ることもできます。
下田の港やはるかな島々を見晴らせる美しい山頂です。
2月15日(木)
三筋山
この冬の野菜の高いこと、目が飛び出そうです。
今日は野草をゲットするぞ!と出かけた三筋山。
昨夜からの強風は今だ静まらず、麓の細野高原から三筋山にかけては遮るもののないカヤトの原は、黄金の海のように波打っています。
その見事さに思わず歓声を上げるものの食べられそうな青物なし。
途中ずいぶんとシカの群れに出会いましたが、彼らも一体何を食べていることやら。
大池: 三筋山の南、その先の小池もともに立派な火山の火口です。
火山と言って思い浮かべるようなステレオタイプの形はしておらず、爆発的な水蒸気爆発が起こって周りを吹き飛ばしてしまったために大きな窪地だけが残ります。
その底はパラグライダーの発着場になっています。
小池に向かって上って行く林道脇の露頭には大池と小池の噴火による火山礫の層が見られます。
三筋山山頂 : 風も強く気温も高めのために空と海の境が溶けあったようです。そのまま飛び出して行けそうです。
グルリと四方が見渡せる山座同定にはうってつけの場所です。登ったことのある山がわかるのが嬉しい。
ここから見渡す美しい稜線上の、ほぼすべてに風車が立っているのが、何と言っていいのか・・・・少し悲しいです。
人間の欲と営みと自然とは折り合えないのだなと。
18日には細野高原のカヤトの原の山焼きが予定されています。
黄金の海は真っ黒になり、春にはワラビがたくさん生えてくることでしょう。
2月6日(火)
湘南の海と丘
久しぶりに都会方面に行くというので、渋滞を避けて朝早く出発。
順調に8時前には起点の大磯城山公園に着いたものの、早すぎて駐車場はまだ開いていません。
仕方なく起点変更をして、登る予定だった湘南平まで移動。こちらも展望台はまだ閉まっておりまして。 早起きは三文の徳というけれど・・・
湘南平: 200mに満たないながらも景色は最高。
南に広がる海に伊豆大島や利島。箱根、伊豆半島、三浦半島に房総半島までが一望の下。
北側にはド~ンと富士山に丹沢の山並み。
一方で東に眼を転ずれば、スカイツリーまで延々と続く街並み。
湘南平から浅間山、八俵山、高麗山へと冬の梢を見上げながら尾根沿いに歩きます。
西の八俵山、中央の高麗山、東の東天照山の三峰で高麗寺山城の曲輪を形成していたという上杉謙信や北条早雲ゆかりの山城は、確かに四方を見渡すことのできる絶好の場所です。
高来神社へと下り、旧街道の松並木を歩いて大磯の町を散策しながら海岸に出ました。
小淘綾ノ浜(こゆるぎのはま): 美しい響きを持つこの浜の名前は、古くから幾度となく大きな地震と津波に洗われた浜であることに由来があると聞きました。 東北の閖上(ゆりあげ)浜も語源を同じくするということです。
そんな由来とは裏腹に、とりどりのさざれ石の砂浜と青い海がとりわけ美しい日でした。
鴫立庵:日本三大俳諧道場の一つ。
藁ぶき屋根でのんびり昼寝中のニャン発見。
旧木下家別邸: 大磯駅前にあり、1912年築のモダンな洋館。
海を眺めながら、美味しいサラダとボリュームたっぷりのピザでお昼にしました。
山歩きの時のおにぎりもいいけど、たまにはいいね!
基点の湘南平まで登り返すと午後3時。 寒いながらも日差しは春です。
1月31日(水)
今年の六方の滝
湯河原梅園の梅祭りが始まる前の昨年もちょうど今頃でした。
寒いながらも風はなく、青空に山の端が美しい一日です。
ところが、標高が上がるにつれて先日降った雪がけっこう残っています。
沢沿いの雪を被ったゴロタの石の上をトレッキングポールで確かめつつ、最後は張られたロープ伝いに登ると六方の滝です。
柱状節理の滝は数あれど、1、2を競う見事さです。
しとどの窟:
寄り道してみました。
いたるところ源頼朝の足跡あり。
幕山;
溶岩ドーム特有のこんもりとした山容。
ここの柱状節理も素晴らしい。
麓の梅林の梅はようやくチラホラ咲き始め、梢の先がポーっと赤味を帯びています。
キジョランの種子 ;
鳥の羽と見まがうようです。
実から白髪がはみ出したような姿が「鬼女蘭」の名の由来だそうですが、残念ながら今だ実を見たことがありません。
1月10日(水) 初山歩き
個展会期中ではありますが、健康も大切なので・・・と言い訳しつつ、友人と二人新年の初山歩きです。
伊豆半島の背骨の付け根のような所に位置する玄岳は、わが家から一番近い山です。
玄岳山頂です。
北に富士山や南アルプス、愛鷹山塊、箱根や丹沢の山々、東に真鶴半島、房総半島、相模灘、南に伊豆大島、東海岸、大室山や天城の山々、西に小瀬崎、達磨山、沼津アルプスに伊豆三山、駿河灘・・・・ぐるりと全方位の景色は圧巻です。
それにもまして、遮るもののない広い空が玄岳山頂の私の一番です。
少し下りた山腹に氷が池があります。
富士山を背景に静かで神秘的な佇まいです。
丹那まで下りて牧場の前の絶景富士山を眺めつつお昼を食べて引き返し、のんびり初山歩きは終了です。 今年も歩きますよ!
12月21日(木)
八丁池
今年最後の山歩きになるかもしれないので、やっぱり八丁池。
水生地から八丁池に真直ぐ伸びる尾根を地図読み復習を兼ねて歩きます。
風はないもののとても寒い日でした。
本日出会ったのは、
人間 0人
イノシシ 2頭
(ちょっと驚きましたが、イノシシも驚いたようで・・・)
シカ 5頭
リス 3匹
地図とコンパスで方向確認をしていると、すぐ近くの木が騒がしい。
鳥かと思えば、3匹のリスが喧嘩しているのか、遊んでいるのか、にぎやかに追いかけっこをしており、そっとカメラを構えた時には気づかれてしまいました。
可愛かったですね。
初めて見ました。
凍った八丁池。
白砂天井から富士山と南アルプスと駿河灘に今日も出会うことができました。
●●● 植物 ●●●
ヒノキ: 天城を歩いていると、時折スギやヒノキの自然木に出会うことがあります。 力強いですね。
ヤマグルマ: 厳しい自然の中で倒れたり、根上りしたりしてもドッコイ生きています。
独特の根上りのヤマグルマはよく見かけます。
NEW!
12月15日(金)
怪峰・十郎左エ門
地形図のグチャグチャの等高線を見ると、どこから伸びる尾根なのか、どこに突き上げる沢なのか、どこをどう歩いていいのか想像もつかない十郎左エ門。
長九郎山側の地形は明瞭ですが、、東尾根は難しことが素人目にもよく分かります。
東尾根の取り付き:
先導役はなんと十郎左エ門44回目という地図読みの師匠Mさんです。
尾根に乗れば険しいながらもひたすら登るのみ。
猿山:
十郎左エ門少し手前、猿山に掛かる虹がきれいでした。
猿山もMさんの案内でした。
十郎左エ門のテラス:
お天気が今一つで、残念ながら富士山は見えませんが、気持ちいい。
駿河灘が望めます。
十郎左エ門から三方平を経ての尾根歩きは、相模灘が見えたり、駿河灘が見えたり、南伊豆、島々が見えたりです。
ここで地図読み練習。
いくつかのピークで立ち止まって、発生する尾根を確認しながら進みます。
普通なら絶対行かない方向が正しい方向だったりして、地図読みは本当に面白い!という一方で、いい加減に歩けば山は怖いということです。
大鍋越えにきちんと降りて練習終了。
先日歩いた箒木山、万二郎、馬の背。
登り尾も雲間の陽の光を映してきれいに見えています。
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