2月18日(木)
宇佐美・ナコウ山石丁場
地層大好き仲間4人とナコウ山石丁場へ。
宇佐美の海岸を出発。
宇佐美で最も古いと言われる比波預天神社に立ち寄りました。
残念ながら半分ほどは立ち枯れ状態ですが、ホルトの木の巨木があります。
ホルトの木という名は「ポルトガルの木」からきています。
「ポルトガルの木」はオリーブのことで、実がとてもよく似ていて、平賀源内がオリーブと間違えたことからきていると言われています。
ヤマモモと似ていて、間違って染めたことがあります。 実を見ればあきらかなのですが・・・
ナコウ山に至る洞入と呼ばれる林間の石切場には、刻印石や矢穴石がゴロゴロと転がっています。
初心者マークに似た矢羽の刻印石が多く、仲間の調べでは、九州、佐伯城主毛利家と深いかかわりのある毛利市三郎の丁場とのことです。
徳川家三代にわたって江戸城の築城石が切り出された厳しく過酷な現場も今はひっそりと林の中。
割られたまま放置されたと思われるもの
積み出しのために並べられたか?
こうして積み出されることもなく置き去りにされたままの石を「残念石」というそうです。
刻印や矢穴石を探しながら、ナコウ山の山頂へ。
「羽柴越中守石場」と刻まれた大きな標石がある所は眺望が開け、宇佐美の浜、伊東、山並みの向こうには大室山が見えます。
大丸山や巣雲山の山並みも見えます。
標石のところの急斜面を少し上るとナコウ山山頂。
真鶴、大山、丹沢の山々が望めます。
往路は沢筋に沿って上ってきましたが、帰路は刻印石や矢穴石の点在する白波台コースを尾根筋づたいに下りてきました。
尾根なのに深い沢のように深くえぐられた不自然な地形で、落ち葉が深く積もり、足がすっぽり入ってしまいます。
これも仲間の調べによりますと、どうやら石曳き道の跡のようです。
宇佐美の浜が見えてくると、もうすぐ帰り着きます。
途中、見事な桜。 河津桜でしょうか。
ちょうどお昼に海辺のお店で海鮮丼を食べ、解散。
伊東、宇佐美、熱海、伊豆山にかけては大規模な石丁場が点在していて、まだまだこれから楽しめそうです。
2月12日(金)
巣雲山
今日も近場の山歩き。 宇佐美港から出発。
山道に入るまでがかなり長い上、舗装道は疲れます。
早咲きの桜。
熱海桜か、河津桜か、濃い目の薄桃色ですね。
巣雲山の手前の大丸山は台風の後、植林したり展望台を設けたりと、整備中でしたが、眺望はなかなか。
薄曇りで靄っていましたが、宇佐美の町、相模灘が一望です。
大丸山から巣雲山までは伊豆スカイラインと並行して登山道を行きます。
巣雲山は広い草原で、展望台があり、360°見渡せます。
左端、頂上が2つある山は矢筈山。
中央奥に頭だけ薄く見えるは、親愛なる大室山。
沼津アルプスの山並み、その向こうは駿河灘。
山の向こうに薄く浮かんでいるのは初島。
すっきりきれいに見えるのもいいですが、山と海と空の境目が分からないような今日の景色もいいものです。
巣雲山からはひたすらの下り。
途中の「生仏の墓」「行者の滝」を通り、竹林を抜け、みかん畑の丘を下りて宇佐美の町に帰りつきました。
宇佐美の浜は、伊豆では珍しく美しい砂浜です。
本日は〆て14kmの行程、なまった体にカツを入れるにはちょうど良かったでしょうか。
2月8日(月)
岩戸山から伊豆山神社へ
久しぶり、近くのお馴染みコース。
いつもは岩戸山で引き返すか、十国峠まで歩きますが、今日は岩戸山から伊豆山神社、海岸の走り湯まで、下って下っての大下りコースです。
岩戸山からはひたすら下りの道が続きます。
伊豆山神社の本宮は是非行きたかった所。
それにしても道が分かりづらくて、迷いながら別荘地のはずれに異空間が突然現れたようでした。
本宮から伊豆山神社の社殿までは長い下りの鎮守の森が続きます。
社殿からさらに参道を下って海岸沿いの走り湯まで837段の階段を下ります。
走り湯は有馬、道後とともに三大古泉のひとつ。
珍しい横穴式の温泉で、かつては湯がほとばしるように海に噴き出していたと言われています。
この温泉の湯を引いた共同浴場「浜浴場」に立ち寄りました。
塩辛い「笹にごり」の少し緑がかったお湯は、ぽかぽかになります。
知人が熱海で一番いいよと勧めてくれた温泉です。
●●植物●●
オオイヌノフグリ
陽だまりに早くも春。
ナギ
源頼朝と政子が落ち合った伊豆山神社では、葉脈が縦に通っていて、横に切れないので、縁結びのお守りになっています。
ところがナギの自生地の東限は熊野と言われていますので、熊野から移植されたのではないかと考えられています。
伊豆は熊野と同様に海とのつながりが深く、「ナギ→海が凪ぐ」ということから、海の安全を祈る意味もあったのでしょう。
1月19日(火)
石丁場めぐり&屏風岩・立岩
以前から行ってみたかったのです。
どこから入って行けばいいのか、どんな状態なのか分からずにいましたが、何でも言ってみるものですね。
「石切場に行きたい」と言っていたら、連れて行ってくれる人あり。
ありがたや。
熱海、下多賀の中張窪・瘤木石丁場跡です。
このあたりは、100万年前から50万年前に噴火を繰り返した宇佐美火山や、80万年前から30万年前の多賀火山の安山岩溶岩を、江戸城築城のための石材として大量に切り出した所です。
あちこちの山中、海岸、あるいは神社などにも残されています。
自分の住んでいる足元に こんな遺跡があるとは。
石を割る時の矢穴と呼ばれるものが残ったもの、人名刻印の残るもの、それぞれの大名家の刻印が残るものが数多く残されています。
網代の朝日山の山頂にも石丁場跡があります。
そのあと網代湾の屏風岩と立岩に登りました。 マグマが冷えて固まって出来たとされています。
これもなかなか行けない所。
屏風岩は30mはある、垂直な一枚岩です。
少し怖くはありましたが、行ってみたい興味の方の勝ち。
国道沿いの崖を、ロープを伝って降り、またロープを伝って登りました。
絶景。 言葉不要。
1月8日(金)
訳あって大室山 その2
強風。 山頂は暴風。
山頂には、私を含め3人しかいませんでした。
足をすくわれそうだし、持っていたメモ帳の紙は引きちぎられるし。
富士山は、その脇に雪の南アルプスを従えてとてもきれいでしたが、写真を撮るのも一苦労でした。
大室山で富士山を褒めると大荒れになるという「コノハナサクヤヒメ」と「イワナガヒメ」の確執の神話あり。
なるほどね。
早々に退散して、先日歩き残した城ヶ崎の自然研究路を「いがいが根」からゆっくり再訪。
それぞれの岩場も先端まで一つずつ歩いてみました。
こちらもご覧下さい
突端はさすがに少し風のあるところもありましたが、大室山の暴風が嘘のように穏やかな林間です。
●●照葉樹林の植物●●
温暖な海辺の照葉樹林が豊かです。 よく似たものが多いのですが、分かるでしょうか。
トベラ
シャリンバイと葉も花もとてもよく似ていますが、葉の縁が裏側に丸く巻きます。 実を見るとはっきりします。 トベラは3裂して中から赤い種を出します。 一方シャリンバイは黒い実です。
ヒメユズリハ
このあたりのユズリハにはヒメが付いています。 少し小ぶりらしいのですが、違いがあまりよく分かりません。
新芽が伸びると古い葉が下に垂れ下がって一斉に落ちます。
古い垂れ下がる葉と新芽が同居する独特な姿が目印です。
子孫に代を譲るという縁起から、正月飾りに使われます。
シロダモ
葉裏が白く赤い実を付けます。
まだ実の残っている間にはなを付け、実、花同時に見ることができます。
ヤブニッケイ
葉脈3本が目立ちます。
香辛料の肉桂に似ています。
シャリンバイ
花が梅の花に似ています。
優秀な染料で、大島紬の主要染料のひとつです。黒く熟した実だけで染めたことがありますが、少し紫がかった赤茶が染まりました。
タブノキ
木々の冬芽を見ると、普通は葉芽と花芽は別々ですが、タブノキは葉芽・花芽混合でふっくらしています。かなりの大木の立派な樹形になり、自宅近くにも多く自生しています。 優秀な染料で、意外にも赤味の色合いが染まります。煮出しをした染料は、トロリと粘り気があり。この木から採れるタブ粉は線香を固めるのりとして使われるそうです。納得の粘り気とクスノキ科特有の芳香はまさに線香そのものです。
アオキ
庭木としてもよく植えられて、園芸品種も多く斑入りのものもあります。
庭野日陰に植えられることが多いようですが、赤い実が日陰を明るくしてくれます。茎が青いことからその名がつけられています。
ヤマモモ
蓮着寺には樹齢1000年といわれる大木があります。研究路を歩いていても、負けない程の大木が見られます。雌雄異株で、初夏に熟す実はそのままでも、ジャムにしても、果実酒にしても美味しいです。
染料としても昔から使われてきました。
●●その他の植物●●
海岸の岩場近く、一番厳しい環境にもどっこい生きています。
タイトゴメ
岩の間のわずかな隙間に這うようにして根付いています。
多肉植物なので、自身にたくさんの水分を持っているので、こんなところでも暮らせるのですね。 一つの葉はコメ粒ほどの大きさです。
フウトウカズラ
林間に多く自生しています。日本で唯一のコショウ科植物。
実もそっくりですが、代わりにはなりません。
イソギク
タイトゴメよりは奥、林に近い方に群生しています。
薬用茶にすると言って摘んでおられる方がいました。
カイガンマサキ
2016年1月5日(火)
城ヶ崎海岸
あたたかく穏やかな年の始め。友人と3人で富戸からはしだての吊り橋までの城ヶ崎海岸を歩きました。
富戸の「ぼら納屋」を出発。
地図を眺めると富戸や城ヶ崎の海岸には、まるでアメーバか手の平を広げたかのように入り組んでいます。
これすべて4000年前に噴火した大室山の溶岩が海になだれ込んでできた海岸です。
それぞれの岩場、入り江、小島などに面白い名前が付いています。かつて ぼら漁が盛んだった頃に漁師達が名付けたと言われています。
どんな意味があるのかトント分からない地名もありますが、その響きから「なるほど」という地名もあります。
磁石もGPSもなかった昔、海から見える大室山をはじめとする山々、海岸の特色のある地名は大きな目印だったことがうかがわれます。
蓮着寺からは自然研究路に入ります。
「かんのんの浜」にあるポットホールまでは危険な岩場を少し歩くので、「行く?」と友人たちに聞いてみたところ「行く、行く」との返事。
岩の割れ目にたまたま落ち込んだ岩が、水の力で動かされているうちに、次第に角が取れて丸くなったものです。
ここのポットホールには直径70cmものほぼ完全な球体があります。
両手両足を使ってたどり着き、こわごわ覗き、一同大満足。
「はしがかり」のあたりからは、それは見事な柱状節理の景色が続きます。
側面から見ると柱状ですが、崩落して柱が折れた断面は五角、六角の亀甲模様の石畳のようになったところも見られます。
柱状節理もまっすぐなだけでなく、弧を描くように曲がったものも見られ、見飽きることのない海岸が続きます。
はしだての吊り橋を渡り、今回の海岸歩きは終了。
まだたくさんの見残しありで、また来たいと思います。
それにしても、あの穏やかなツルリと何気ない風体の大室山の若かりし頃、激しい噴火の時期があって、4000年の歳月を経て、美しい海岸となだらかな伊豆高原を作って今に生きている私たちを楽しませてくれているのか・・・と思い、少し見直しました。