日本列島は、4つの大きなプレートがちょうどせめぎ合う上にあります。災害列島たる所以でもあります。
4つのうち、唯一フィリピン海プレート上にあるのが伊豆半島です。 およそ2000万年前の太平洋上の小さな火山島が、フィリピン海プレートに乗って北上し、本州に衝突して出来上がった伊豆半島。
なんだかまるで「ひょっこりひょうたん島」のようで、想像を搔き立ててくれます。 そして今なお、北へと本州を押し上げつつあります。
そんな伊豆に暮すようになってから、ずいぶんと月日が経ちました。 成り立ちの面白さ、独特の地層や伊豆半島固有の植物たち。
歩いて、歩いて、伊豆の自慢をしたいと思います。
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植物は類似した種が多く、
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10月16日(水)八丁池
久しぶりに水生地歩道を登ってきました。
本谷川の源流に沿ってスギやヒノキの植林地帯が続く道が、ワサビ田を二つ越え、広葉樹が混じり始めると、川音がパタリと途絶える涸沢となります。ゴロゴロの石の転がる何の変哲もない源流部なのですが、水が地中に潜り、森の静けさが一気に訪れるこの場所が何とも言えず私は好きです。
長らく伊豆半島にはいないと言われていたツキノワグマが、数年前にワナにかかってから、クマよけの鈴をつけるようになりましたが、自分の鈴の音が煩わしくて、静かな森を楽しめなくなり、とても残念に思っていました。
最近、特に一人で歩く時は、周りの様子をよく見ることと、見通しが悪い曲がり角のようなところではホイッスルを吹くことにして、折り合いをつけています。バッタリを避けるためには先に見つけることと、予め警告しておくことは心掛けようと思います。
下り坂の予報の出ていた八丁池は一気に靄が降りてきました。
10月も半ばというのに、今日も暑い日です。こんな気温では晩秋のキノコは出て来ません。
富士山麓のカノシタはオレンジ色がかったものしか見たことがありませんが、ここではシロカノシタしか見かけません。
シロカノシタの方が大振りで厚みもあり、大きくなるといびつな形になります。
フランスでpied de mouton=羊の足と言われて人気があるのはシロカノシタのようです。 列を作って一帯に並んでいます。
力が衰えたり、立ち枯れたりしたブナにビッシリ着くツリガネタケ。
名前どおり「釣鐘」の形をしており、年々年輪を重ねて大きくカチカチになっていきます。
ヨーロッパでは大昔、火打石の火口に使われていたと言います。アルプスで見つかった5000年前の「アイスマン」が持っていたのもツリガネタケの仲間だそうな。面白いですね。
いろんな植物が這い上ったり、着生したり、本体の木は一体何だろうか・・・どうやらカツラの木ののようです
黒い実がついています。
タンナサワフタギとサワフタギ。二つ並べて見比べれば、花や葉で同定できるかもしれませんが、片方だけだと難しいのです。
ところが、実を見れば明快。黒い実が付くのがタンナサワフタギ、青紫色の実を付けるのはサワフタギです。初めて実を確認できて、スッキリしました。
キノコは今一つでしたが、もう少し寒くなるのを待つとしましょう
10月10日(木)自主練その3
秋晴れとはこのことをいうのでしょう。青い空、蒼い富士山、文句なしです。先週まで夏日があった今年の初雪の便りは遅いようです。
登山口から10mも歩かないうちに、あちらにもこちらにもナラタケが。今日、師匠は富士山の反対側でマツタケ採りをしているはず。ナラタケ大好きな師匠に見せてあげたかった。
帰路に回収しようと思い、そのまま森の中に進むと、立ち枯れの古木に地面から5m程も這い上るナラタケの一群に遭遇。見事でした。ここだけでカゴは満杯となりました。
ナラタケは数日で発生して消えていく足の速いキノコ、ちょうど良い状態の時に出会えるのはほとんど偶然かもしれません。
晩秋を告げる美味しいキノコたちです。
サンゴハリタケの大ぶりのものも4株ほど見つけ、ホクホクです。今年はタマゴタケの当たり年のようで、今日も2本見つけました。
見上げてみると、ほんのかすかに色づき始めた森は、まだ夏の終わりのような感じです。
今年の富士山麓のキノコ探索も、そろそろ終わりが近づいてきました。
10月2日(水)八丁池
久しぶりの八丁池です。友人とキノコ偵察を兼ねて、寄り道だらけをしながらここまでやって来ました。
10月に入っても夏日の予報が出ており、天城の森もまだ夏模様です。それでもアケボノソウの花が咲いて、やっぱり秋は来ています。
朝の最初の太陽一筋の光に、飛び立つ鳥の群れを思わせる。美しい花です。
ブナ帯のキノコは、もう少し気温が下ってこないと、なかなか姿を現しませんが、倒木にも立ち枯れの木にもワンサカ生えているのはツキヨタケ。その勢力たるや目を見張るものがあります。
私の好きなキノコNO.1 ウスヒラタケがあちこちブナの倒木に出始めていました。
折り重なるように生え、春から秋にかけて何度か同じところに出ます。
薄くて頼りなげなキノコですが、独特のシャッキリとした歯ごたえは、汁物はもちろん、パスタと和えれば、違った食感が楽しめて、毎度「おお!」とニンマリしています。
初めて実物に遭遇。かなりがっしり太いですね。触っても炎症を起こし、食べれば死亡例も発生している猛毒キノコです。
話に違わぬ奇妙な姿、食べてみようと思う人がいるということの方が奇妙。
これから移り行く美しい季節、今度来るときには樹々も色付き始めていることと思います。またセッセと登って来たいと思います。
9月30日(月)今日のキノコ
今日で9月も終わり、暑い暑い長い長い夏も今日で終わってほしいものです。
森はまだまだ秋の気配はありません。これだけ暑い日が続くと、地面の温度も下がらず、菌界にも大いに影響するのではないでしょうか。
ところが、今年はマツタケの当たり年と聞いていますし、ホウキタケも今年はとても豊かでした。地下の世界はどうなっているのでしょう。
さて、今日の菌影。
両掌の程の見事なサンゴハリタケを見つけました。幼菌もあちこちで見かけましたので、来週あたりは大きくなっているでしょうか。サンゴハリタケが出てくればやはり秋です。
放射状にきれいに上品に点々を並べたヌメリスギタケ。美味しいキノコです。
初お目見え。スーパーに並んでいるエノキタケとはとても同じキノコとは思えません。
師匠から特徴を説明してもらいました。よくよく見ると柄にはビロード状に微毛が密生しています。
今度出会った時にきちんと見分けられるでしょうか。
あまりに立派な株なので思わず写真を撮りました。
すでに成菌の状態を過ぎて、かなり色が抜けていますが、幼菌の頃はオレンジ色が美しく、柔らかい状態の時は食べられるようです。
一日中靄がかかるお天気でしたが、下山したらようやく二ツ塚が見え始めました。
9月26日(木)富士山麓
6時19分登山口到着。文句なしの晴天で富士山はてっぺんまで点々と山小屋が見えます。カラマツが色づき始めて、美しい季節です。
一方、下界は雲下、雨が結構降ったので、ほどなく一気に靄が上がってきて、森も霧に包まれてきました。
いつもは2000mから、キノコを探しながら登って行くのですが、今日は新五合目まで一気に登ってから、下っていくことにしました。
秋の深まりとともにキノコもどんどん移り変わっていきます。2300m辺りで、秋の代表の一つ、キヌメリガサに出会いましたが、やっと一本。まだまだこれからのようです。
ナラタケがたくさん出ていました。秋も本番。オニナラタケのようです。
こちらは秋の代表のひとつ。
カサの縁に残る糸くず状の点々が見分けの一つの要素です。美味しいキノコです。
苔に埋もれて頭だけ出していたキノコ。パッと見、ハナイグチかと思いましたが、かなり赤みが強く、抜いてみれば見たことのないキノコ。
ピンボケが残念ですが、特徴は良く分かります。
麓の山小屋に戻って、キノコ談議をしている時に、詳しい方がアカネアミアシイグチと教えてくれました。
帰宅後調べてみましたら、2011年に新種登録された希少種のようです。カサ裏の紅はアメリカウラベニイロガワリやバライロウラベニイロガワリ程の毒々しい赤ではなく、名前どおりの茜色。特徴的なのはその柄の網目模様で、明らかにアメリカともバライロとも違います。
青変すると書いてあったり、青変しないと書いてあったりでしたが、私の見た個体は青変しませんでした。食毒不明、まだまだ分からないことだらけの新人といったところです。希少なキノコ、お目にかかれて嬉しいです。
今日は菌影が薄かったのですが、山小屋でお会いした方2組、マツタケをゲットされておりました。1本はカサが開いて両手の平からはみ出すほどの大きさで、久しぶりにマツタケの香りをかがせてもらいました。私たちも狙ってはいたのですが、残念でした。
本日の収穫は、タマゴタケ、ハナイグチ、キノボリイグチ、キヌメリカサ、オニナラタケ、チャナメツムタケ、クリフウセンタケ、ホウキタケ、カワムラフウセンタケ、ツバアブラシメジ。こんなところです。
富士山のキノコも終盤が近づいてきています。