日本列島は、4つの大きなプレートがせめぎ合うちょうど上にあります。災害列島たる所以でもあります。
4つのうち、唯一フィリピン海プレート上にあるのが伊豆半島です。 およそ2000万年前の太平洋上の小さな火山島が、フィリピン海プレートに乗って北上し、本州に衝突して出来上がった伊豆半島。
なんだかまるで「ひょっこりひょうたん島」のようで、想像を搔き立ててくれます。 そして今なお、北へと本州を押し上げつつあります。
そんな伊豆に暮すようになってから、ずいぶんと月日が経ちました。 成り立ちの面白さ、独特の地層や伊豆半島固有の植物たち。
歩いて、歩いて、伊豆の自慢をしたいと思います。
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植物は類似した種が多く、
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8月13日(水)植物観察・晩夏
そういえば、毎年お盆の頃、ここに来ている気がします。どこに出かけても、行きも帰りも渋滞につかまってはうんざりするので、結局一番近いところにひと歩きに来ているのです。
東光寺から続くハコネダケのトンネルに差し掛かると、なぜか後ろを振り返る。お盆の頃、お彼岸の頃、東光寺を訪れると逝ってしまった懐かしい人に会えるという。
この世で病に苦しんだ母に、もう帰って来なくていいよと毎年のようにつぶやいて、それでも毎年のようにここで振り返るのはおかしなものです。
14日は母の命日、20日は父の命日です。もうずいぶんと遠い昔のことになりました。
かやとの原に出てみると、青々ととしたススキの波の中に、ポツリポツリ秋の花が咲き始めていました。
8月4日(月)河津七滝
年々猛暑のレベルが上がっていくのを体感しています。一番暑い盛りは、毎年恒例の滝めぐりにやってきます。
水生地から旧天城隧道までが唯一の登り、あとは河津川沿いの歩道を滝をめでながら、水面を渡る涼やかな風に吹かれて、ゆるゆる下ります。
このところ晴天続きでほとんど雨が降っておらず、今年の滝の水量はさすがに減っています。
宗太郎園地の杉並木を抜けると、七滝の最上部、猿田淵に到着します。下るにつれてだんだんと気温も上がってきます。
七滝の最終にはこれもまた恒例、カキ氷が待っています。これが楽しみで来るようなものでもあります。
7月25日(金)八丁池
緑は濃く、影も濃く、天城の森は爽やか。この季節は大量の虫に悩まされるものの、やっぱり来てよかった八丁池。
何と、これこそチチタケ。ここで見つけるとは思いもしませんでしたが、ブナやカエデなどの広葉樹林下。不思議ではありませんが、初見です。
先日の富士山裾野のヒロハチチタケと比べてみると違いがよくわかります。カサの色はチチタケの方が濃いのですが、個体差もあります。ヒダの疎密を比べるのが一番のようです。
山友が、今年も畑で育てたスイカを持ってきてくれました。昨年いただいたスイカがあまりに美味しかったので、今年は予約してしまいました。
8.3㎏、巨体です。早速いただきました。山歩きの後のスイカは一段と旨い!!
7月23日(水)二ツ塚
富士山は開山し、今年から入山料が導入されました。これまでの様々な問題に向き合って、徐々に良いものにしていくまずは初めの一歩。さぞや山頂は賑やかなことでしょうが、裾野の樹林帯は静かでさわやか。
期待はしてません、と言いつつ、見つけてうれしいキノコたち。
今年初の、おそらくはチチタケではなくヒロハチチタケ。
キノコ一年生のころから採ってきたキノコですが、ベニタケ特有のボソボソとした食感。手を変え品を変え調理してみても、どうにも美味しいと思えず、少し生意気になったキノコ5年生の私は、パスしています。
有名な話ですが、チチタケは栃木県では熱烈に愛されるキノコで、季節のチタケうどんの人気は相当なものと聞いています。いろいろ話を総合すると、キノコそのものを食すというより、チチタケからの旨味たっぷりの出汁が最高だそうな。 同行のキノコ師匠は、試してみるとの由。結果は如何に。
アシベニイグチ、イロガワリ、アメリカウラベニイロガワリ・・・・候補は出るものの同定に至らず。
予想どおり、ベニタケやイグチの仲間のキノコが出てくる季節になり、本格的なシーズンが待ち遠しくなってきました。
上塚まで登ってきました。頂上付近は雲の中ですが、登山道を上る人、砂煙を上げながら砂走りを駆け降りる人が見えています。
雄大な景色を肴にお昼を広げたとたん、いきなりグワッシャ~ンと雷鳴が鳴り響き、トットと上塚を駆け降りて雷雲から逃げてきました。山の雷は恐ろしい。クマも恐ろしいですが、何もない山頂では雷は避けようがありません。
聞けば、五合目付近は土砂降りの雷雨だったそうです。
7月18日(金)青木ヶ原樹海
富士山の裾野をぐるり180度回って、北麓・青木ヶ原樹海にやってきました。3時間近くかかります。やっぱり遠い。南麓とは違った独特で広大な原生林は、864年の貞観大噴火で流れ出した溶岩台地の上に形作られています。
地形図を見ると、等高線の間隔は広くてなだらかで、いかにも簡単に歩けそうですが、流れ出した溶岩がゴロゴロと転がり、火山ガスの抜けた穴が地中にポッカリ口を開けていたりします。
1200年の歳月を経て苔むしてはいるものの、土壌は数10㎝ほどの厚みしかなく、根こそぎひっくり返っている木を見ると、土壌は今でも貧しいままです。
また、溶岩の上や隙間に必死でしがみつくように根を張る木も見られます。
そんな厳しい台地にはツガ、ヒノキ、アカマツなどの常緑針葉樹が主体で、ブナ、ミズナラ、カエデ、ソヨゴなども見られます。
今年は数が少ないようです。私のトレッキングポールと比べても背が高く、大きいものなら私の背を越すものもあります。
ナラタケはとても美味しいキノコですが、林業者の間では木を枯らす菌で、とても嫌われています。そんなナラタケ菌からチャッカリ栄養をもらって生きているのがオニノヤガラ。上には上がいるということか。さらに、種から発芽するにはクヌギタケ属の菌が必要であるそうな。
チャッカリしていながら、クヌギタケやナラタケがいなければそもそも生きられないということ。地面の下で緻密につながりあい、巡り廻って広大な宇宙を築いている。想像するだけで楽しいです。
林床にたくさん見かけました。花柄がようやくのぞいてきた時期です。
わが家の裏でもアカマツの下に自生していますし、天城ではスギやヒノキの林下、あるいはブナ帯でも見かけます。
ここでは針葉樹林下でした。私の知る限りでは、針葉樹林下が多い気がします。
こちらも絶滅危惧IA類。コハクランは、地面に溶け込むような色合いで見つけにくいランですが、ミスズランは、ほとんど大きな苔の胞子体と変わらないほど小さなラン。緑の苔に溶け込んで見つけるのに苦労しました。
花を見に来ると、同じように探しに来ている人たちと情報交換しながら歩くことがよくあります。今日もコハクランを探して3人で歩くことになりました。出会った4組の方々のお目当てが、すべてコハクランでした。面白いことに、さらにそのうち2組の方が、再会でした。
自生ランの花期は限られた時と場所のせいか、同じ人たちに再会することが本当によくあります。花をめぐり、再び人に出会う。花のみちびきです。
場所を移して、フガクスズムシソウ。大きな木の上の方に着生していることの多いランです。
写真を撮ろうとして木によじ登ったか、苔がごっそり剥がれ落ちている木がありました。フガクスズムシソウは珍しいランではありますが、苔も着生ランが育つほどの厚みに育つには何年、何十年かかることか。
日本の自生ランの多くが絶滅の危機に瀕していて、会いたくて見に行く私も含めて、貴重な自生地を踏みつけて歩き、その危機の片棒をかついでいることもよくよく認識しないといけないと思います。
また、こうしたランをごっそり盗掘していく輩もいます。
菌根菌と共生していることの多いランは、きれいだからと言って持ち帰っても、生き延びることはできません。無知の成せる業。ランの生態を知ろうとも知りたいとも思わない人がいるのは本当に悲しい事です。
(2日目)7月11日(金)
2年ぶりに再会した方に誘われて、ウチョウランを見に行ってきました。初めての山域でしたが、あいにくの曇り空と霧雨で、視界はゼロ。
(3日目)7月13日(日)
1日目にお会いした方を誘って、ホームグラウンドの草原に。来週は台風がらみで荒れ模様の予報で、辛うじてお天気が持ちそうなので急遽出かけて来ました。
本命のランには出会えませんでしたが、森とは違った草原の植物たちが楽しませてくれます。
草原の花たち。花三昧の一週間。これから夏の花々の盛りの時。嬉し、忙し。
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7月4日(金)開山前
7月10日の開山とともに始まるマイカー規制前、まだ少し静かな富士山の宝永山まで行ってみることにしました。
高鉢駐車場に車を止めて、村山古道を辿って登って行きます。まったく迷いようがないほどにピンクテープと手製の案内表示があります。
標高1700m程、ダケカンバやモミ、カエデ、シナノキ、ヤマハンノキ・・・美しい森の中から歩き始めます。
村山浅間神社から富士山頂を目指す道は、富士山信仰の修験道として、さらに時代が移り富士講の盛んな時代、明治の廃仏毀釈で廃道となった時代を経て、最近ではトレッキングコースとして歩かれるようになっています。
五合目を越えると森の様子が変わってきて、さらに六合目近くになると砂礫地帯に、コケモモやミヤマヤナギが群落を作り始め、六合目が見えてきました。
五合目手前頃から靄と霧雨が降り始めましたが、時折、雲が切れてその雄大な姿がみられました。久しぶりです。宝永火口縁を歩く人の列がアリンコほどに見えます。
第一火口縁、第二火口縁から山体観察装置を回る頃までは雲の中で視界は0。
御殿庭からガラン沢を下って戻ってきました。