日本列島は、4つの大きなプレートがせめぎ合うちょうど上にあります。災害列島たる所以でもあります。

 

4つのうち、唯一フィリピン海プレート上にあるのが伊豆半島です。 およそ2000万年前の太平洋上の小さな火山島が、フィリピン海プレートに乗って北上し、本州に衝突して出来上がった伊豆半島。

 

なんだかまるで「ひょっこりひょうたん島」のようで、想像を搔き立ててくれます。 そして今なお、北へと本州を押し上げつつあります。

 

そんな伊豆に暮すようになってから、ずいぶんと月日が経ちました。 成り立ちの面白さ、独特の地層や伊豆半島固有の植物たち。 

 

歩いて、歩いて、伊豆の自慢をしたいと思います。

歩き始めた詳しいいきさつは→こちらをどうぞ 

 

お願い

植物は類似した種が多く、自然交配した雑種も多く見られますので、同定が困難な場合があります。種名の誤り、未同定の植物の名前がお分かりの方は是非ご連絡下さい。ご質問やご感想もお寄せ下さい。

「ご意見・アドバイスをお願いします」

●メールでのご連絡先→ ori@ohnojunko.com

 


 写真をクリックすると拡大写真が見られます。


日金山東光寺
日金山東光寺

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8月13日(水)植物観察・晩夏

 

そういえば、毎年お盆の頃、ここに来ている気がします。どこに出かけても、行きも帰りも渋滞につかまってはうんざりするので、結局一番近いところにひと歩きに来ているのです。

 

 

 

東光寺から続くハコネダケのトンネルに差し掛かると、なぜか後ろを振り返る。お盆の頃、お彼岸の頃、東光寺を訪れると逝ってしまった懐かしい人に会えるという。

 

この世で病に苦しんだ母に、もう帰って来なくていいよと毎年のようにつぶやいて、それでも毎年のようにここで振り返るのはおかしなものです。

 

14日は母の命日、20日は父の命日です。もうずいぶんと遠い昔のことになりました。

 

ヤマナシ
ヤマナシ

ヤマナシの実が落ちていました。ピンポン玉くらいの大きさ、かじってみたことがありますが、とても食べられたものではありませんでした。

ツチアケビ
ツチアケビ

今年はあちこちで本当によく見かけました。

 

ナラタケの菌根菌に寄生しているツチアケビ。昨年の秋はナラタケが爆発的に出ていましたが、関係があるでしょうか。

 

 

かやとの原に出てみると、青々ととしたススキの波の中に、ポツリポツリ秋の花が咲き始めていました。

コガンピ
コガンピ
アシタカマツムシソウ
アシタカマツムシソウ
サワヒヨドリ
サワヒヨドリ
オトコヨモギ
オトコヨモギ
サクラガンピ
サクラガンピ
オミナエシ
オミナエシ
アリノトウグサ
アリノトウグサ


 

8月4日(月)河津七滝

 

年々猛暑のレベルが上がっていくのを体感しています。一番暑い盛りは、毎年恒例の滝めぐりにやってきます。

旧天城隧道
旧天城隧道
二階滝
二階滝

水生地から旧天城隧道までが唯一の登り、あとは河津川沿いの歩道を滝をめでながら、水面を渡る涼やかな風に吹かれて、ゆるゆる下ります。

 

このところ晴天続きでほとんど雨が降っておらず、今年の滝の水量はさすがに減っています。

平滑ノ滝
平滑ノ滝
宗太郎園地
宗太郎園地

宗太郎園地の杉並木を抜けると、七滝の最上部、猿田淵に到着します。下るにつれてだんだんと気温も上がってきます。

 

七滝の最終にはこれもまた恒例、カキ氷が待っています。これが楽しみで来るようなものでもあります。

 

猿田淵
猿田淵
釜滝
釜滝
釜滝の柱状節理
釜滝の柱状節理

ヘビ滝
ヘビ滝
ヘビ滝の柱状節理
ヘビ滝の柱状節理
マルミノヤマゴボウ
マルミノヤマゴボウ

本谷川、河津川沿いによく見かけます。ヨウシュヤマゴボウは、至るところに繁茂している帰化植物ですが、こちらは意外にも日本の在来種。

アオフタバラン
アオフタバラン

ようやく見つけたアオフタバラン。姿も大きさも色も目立ちません。見つけるとうれしい花です。

 

独特な先割れ唇弁に愛嬌あり。

 


 

7月25日(金)八丁池

 

緑は濃く、影も濃く、天城の森は爽やか。この季節は大量の虫に悩まされるものの、やっぱり来てよかった八丁池。

 

八丁池展望台より
八丁池展望台より
下田方向
下田方向

富士山は入道雲に隠れていましたが、展望台からの眺めはぐるりどこを見ても美しい。

八丁池
八丁池
チチタケ
チチタケ

何と、これこそチチタケ。ここで見つけるとは思いもしませんでしたが、ブナやカエデなどの広葉樹林下。不思議ではありませんが、初見です。

 

先日の富士山裾野のヒロハチチタケと比べてみると違いがよくわかります。カサの色はチチタケの方が濃いのですが、個体差もあります。ヒダの疎密を比べるのが一番のようです。

 

チチタケ
チチタケ
ヒロハチチタケ
ヒロハチチタケ

オオイタヤメイゲツとハウチワカエデ
オオイタヤメイゲツとハウチワカエデ

ついでにこちらも比較。そっくりさんですが、実は違います。

 

左はオオイタヤメイゲツ、右はハウチワカエデです。

 

 

ツキヨタケ
ツキヨタケ

毎年のように、シイタケと間違えて食べる事故が起きています。出始めのツキヨタケはとてもきれいで、幼菌は特にシイタケに似ています。

 

 

ツチアケビの花
ツチアケビの花

すでに時期を逸していますが、久しぶりに遭遇。オニノヤガラと同様、ナラタケの菌根菌からチャッカリ栄養をもらっている菌従属栄養植物です。

白砂天井
白砂天井

山友が、今年も畑で育てたスイカを持ってきてくれました。昨年いただいたスイカがあまりに美味しかったので、今年は予約してしまいました。

 

8.3㎏、巨体です。早速いただきました。山歩きの後のスイカは一段と旨い!!


 

7月23日(水)二ツ塚

 

富士山は開山し、今年から入山料が導入されました。これまでの様々な問題に向き合って、徐々に良いものにしていくまずは初めの一歩。さぞや山頂は賑やかなことでしょうが、裾野の樹林帯は静かでさわやか。

 

バイケイソウ
バイケイソウ
バイケイソウ
バイケイソウ

春にヤマシャクヤクを見に訪れたところは、今ちょうどバイケイソウの花盛りです。意外にもバイケイソウの花の時期に出会うのは珍しく、何年かぶりに行き会いました。

 

ヒロハチチタケ
ヒロハチチタケ

期待はしてません、と言いつつ、見つけてうれしいキノコたち。

 

今年初の、おそらくはチチタケではなくヒロハチチタケ。

 

キノコ一年生のころから採ってきたキノコですが、ベニタケ特有のボソボソとした食感。手を変え品を変え調理してみても、どうにも美味しいと思えず、少し生意気になったキノコ5年生の私は、パスしています。

 

有名な話ですが、チチタケは栃木県では熱烈に愛されるキノコで、季節のチタケうどんの人気は相当なものと聞いています。いろいろ話を総合すると、キノコそのものを食すというより、チチタケからの旨味たっぷりの出汁が最高だそうな。 同行のキノコ師匠は、試してみるとの由。結果は如何に。

 

 

未同定
未同定

アシベニイグチ、イロガワリ、アメリカウラベニイロガワリ・・・・候補は出るものの同定に至らず。

 

予想どおり、ベニタケやイグチの仲間のキノコが出てくる季節になり、本格的なシーズンが待ち遠しくなってきました。

 

 

二ツ塚上塚山頂
二ツ塚上塚山頂

上塚まで登ってきました。頂上付近は雲の中ですが、登山道を上る人、砂煙を上げながら砂走りを駆け降りる人が見えています。

 

雄大な景色を肴にお昼を広げたとたん、いきなりグワッシャ~ンと雷鳴が鳴り響き、トットと上塚を駆け降りて雷雲から逃げてきました。山の雷は恐ろしい。クマも恐ろしいですが、何もない山頂では雷は避けようがありません。

 

聞けば、五合目付近は土砂降りの雷雨だったそうです。

 

二ツ塚上塚山頂
二ツ塚上塚山頂

 

7月18日(金)青木ヶ原樹海

 

富士山の裾野をぐるり180度回って、北麓・青木ヶ原樹海にやってきました。3時間近くかかります。やっぱり遠い。南麓とは違った独特で広大な原生林は、864年の貞観大噴火で流れ出した溶岩台地の上に形作られています。

 

火山ガスの抜けた風穴
火山ガスの抜けた風穴
ヒメシャラ
ヒメシャラ

地形図を見ると、等高線の間隔は広くてなだらかで、いかにも簡単に歩けそうですが、流れ出した溶岩がゴロゴロと転がり、火山ガスの抜けた穴が地中にポッカリ口を開けていたりします。

 

1200年の歳月を経て苔むしてはいるものの、土壌は数10㎝ほどの厚みしかなく、根こそぎひっくり返っている木を見ると、土壌は今でも貧しいままです。

 

また、溶岩の上や隙間に必死でしがみつくように根を張る木も見られます。

 

そんな厳しい台地にはツガ、ヒノキ、アカマツなどの常緑針葉樹が主体で、ブナ、ミズナラ、カエデ、ソヨゴなども見られます。

 

樹海の散策路の入口にこんな看板がありました。

 

一瞬、ん?と思いましたが、樹海=自殺者という一面もよく知られていて、なるほど。

 

 

今年は数が少ないようです。私のトレッキングポールと比べても背が高く、大きいものなら私の背を越すものもあります。

 

ナラタケはとても美味しいキノコですが、林業者の間では木を枯らす菌で、とても嫌われています。そんなナラタケ菌からチャッカリ栄養をもらって生きているのがオニノヤガラ。上には上がいるということか。さらに、種から発芽するにはクヌギタケ属の菌が必要であるそうな。

 

チャッカリしていながら、クヌギタケやナラタケがいなければそもそも生きられないということ。地面の下で緻密につながりあい、巡り廻って広大な宇宙を築いている。想像するだけで楽しいです。

 

オニノヤガラ
オニノヤガラ
オニノヤガラ
オニノヤガラ

ミヤマウズラ
ミヤマウズラ

林床にたくさん見かけました。花柄がようやくのぞいてきた時期です。

 

わが家の裏でもアカマツの下に自生していますし、天城ではスギやヒノキの林下、あるいはブナ帯でも見かけます。

 

ここでは針葉樹林下でした。私の知る限りでは、針葉樹林下が多い気がします。

 

 

ヒトツボクロ
ヒトツボクロ

すでに実になっていました。やはり、針葉樹林下でした。来年は花の時期に来てみましょう。


シテンクモキリ
シテンクモキリ

 

~7月13日(水)花めぐり週間

 

(1日目)7月9日(水)

今日はこの花を探しに来ました。初めて出会ったシテンクモキリ。明るい道路際の草地にたくさん見られました。

 

 

草地に紛れるように、こちらもたくさん出会えました。長い距が特徴的。

ホソバノキソチドリ
ホソバノキソチドリ
ホソバノキソチドリ
ホソバノキソチドリ

ホザキイチヨウラン
ホザキイチヨウラン

ピンボケ残念ですが、ルーペでのぞくと感心するほど小さいながら、立派なランの造形に感動します。

 

 

コハクラン
コハクラン

絶滅危惧IA類。

皆さん今日はこのランが目当てです。

 

見つけた時は喝采でした。

 

 

こちらも絶滅危惧IA類。コハクランは、地面に溶け込むような色合いで見つけにくいランですが、ミスズランは、ほとんど大きな苔の胞子体と変わらないほど小さなラン。緑の苔に溶け込んで見つけるのに苦労しました。

ミスズラン
ミスズラン
ミスズラン
ミスズラン

 

花を見に来ると、同じように探しに来ている人たちと情報交換しながら歩くことがよくあります。今日もコハクランを探して3人で歩くことになりました。出会った4組の方々のお目当てが、すべてコハクランでした。面白いことに、さらにそのうち2組の方が、再会でした。

 

自生ランの花期は限られた時と場所のせいか、同じ人たちに再会することが本当によくあります。花をめぐり、再び人に出会う。花のみちびきです。

 

 

フガクスズムシソウ
フガクスズムシソウ

場所を移して、フガクスズムシソウ。大きな木の上の方に着生していることの多いランです。

 

写真を撮ろうとして木によじ登ったか、苔がごっそり剥がれ落ちている木がありました。フガクスズムシソウは珍しいランではありますが、苔も着生ランが育つほどの厚みに育つには何年、何十年かかることか。

フガクスズムシソウ
フガクスズムシソウ

日本の自生ランの多くが絶滅の危機に瀕していて、会いたくて見に行く私も含めて、貴重な自生地を踏みつけて歩き、その危機の片棒をかついでいることもよくよく認識しないといけないと思います。

 

また、こうしたランをごっそり盗掘していく輩もいます。

 

菌根菌と共生していることの多いランは、きれいだからと言って持ち帰っても、生き延びることはできません。無知の成せる業。ランの生態を知ろうとも知りたいとも思わない人がいるのは本当に悲しい事です。

 

(2日目)7月11日(金)

2年ぶりに再会した方に誘われて、ウチョウランを見に行ってきました。初めての山域でしたが、あいにくの曇り空と霧雨で、視界はゼロ。

ウチョウラン
ウチョウラン

岩場の隙間に張り付くように点在していました。

 

こちらも盗掘されネットでも販売されています。確かに可憐で色も美しく狙われるランです。絶滅危惧Ⅱ類。

ウチョウラン
ウチョウラン
ウチョウラン
ウチョウラン
ウチョウラン
ウチョウラン
ウチョウラン
ウチョウラン

 

 

(3日目)7月13日(日)

1日目にお会いした方を誘って、ホームグラウンドの草原に。来週は台風がらみで荒れ模様の予報で、辛うじてお天気が持ちそうなので急遽出かけて来ました。

 

本命のランには出会えませんでしたが、森とは違った草原の植物たちが楽しませてくれます。

 

ヤマジオウ
ヤマジオウ

よく見かけるお馴染みさんですが、同行者は初めてとのこと。よくよく見ると何と面白い造形でしょうか。

 

アリノトウグサ
アリノトウグサ

改めて調べてみると、花に雄性期と雌性期があるとのこと。肉眼では判別の難しい極小の花が咲いていましたが、さてどちらだったのでしょう。

 

カナビキソウ
カナビキソウ

こちらも小さな小さな花。3裂、4裂、5裂いろいろありました。半寄生植物とのこと。宿主まではわからないようです。ビャクダン科というのも珍しい。

 

草原の花たち。花三昧の一週間。これから夏の花々の盛りの時。嬉し、忙し。

ミヤコワスレ
ミヤコワスレ
コガンピ
コガンピ
コキンバイザサ
コキンバイザサ
コケオトギリ
コケオトギリ
ウツボグサ
ウツボグサ
オオナンバンギセル
オオナンバンギセル
ヒメヤブラン
ヒメヤブラン
チダケサシ
チダケサシ


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7月4日(金)開山前

 

7月10日の開山とともに始まるマイカー規制前、まだ少し静かな富士山の宝永山まで行ってみることにしました。

 

高鉢駐車場に車を止めて、村山古道を辿って登って行きます。まったく迷いようがないほどにピンクテープと手製の案内表示があります。

 

一ノ木戸
一ノ木戸

標高1700m程、ダケカンバやモミ、カエデ、シナノキ、ヤマハンノキ・・・美しい森の中から歩き始めます。

 

村山浅間神社から富士山頂を目指す道は、富士山信仰の修験道として、さらに時代が移り富士講の盛んな時代、明治の廃仏毀釈で廃道となった時代を経て、最近ではトレッキングコースとして歩かれるようになっています。

 

五合目
五合目
コケモモ
コケモモ

五合目を越えると森の様子が変わってきて、さらに六合目近くになると砂礫地帯に、コケモモやミヤマヤナギが群落を作り始め、六合目が見えてきました。

ミヤマヤナギ
ミヤマヤナギ

ミヤマヤナギの綿毛の花期。初めて遭遇しました。

 

厳しい富士山の自然に、先駆けて根を下ろすパイオニア植物の一つです。

六合目
六合目

 

 

五合目手前頃から靄と霧雨が降り始めましたが、時折、雲が切れてその雄大な姿がみられました。久しぶりです。宝永火口縁を歩く人の列がアリンコほどに見えます。

宝永第一火口縁
宝永第一火口縁
宝永山と第ニ火口
宝永山と第ニ火口
山体観察装置分岐
山体観察装置分岐

第一火口縁、第二火口縁から山体観察装置を回る頃までは雲の中で視界は0。

 

御殿庭からガラン沢を下って戻ってきました。

宝永山
宝永山

 

夏の早い時期に真っ先に見かけます。

 

大型のイグチでキノコらしい美しい姿。柄は鮮やかな赤色。残念ながら有毒です。

アシベニイグチ
アシベニイグチ

 

こちらは美味しいキノコ。早くも出始めました。

カワリハツ
カワリハツ